おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『インターステラー (2014)』【90/100点: 宇宙を旅して家族と別れて】

クリストファー・ノーランの代表作で、絶滅寸前の人類を救う為に宇宙を旅する宇宙飛行士の姿を描いたSF超大作。ベースとなっているのは思い切り『2001年宇宙の旅』なのですが、弟のジョナサン・ノーランの脚本構成がまた感動的。

実はワタクシ、ノーラン作品は本作と『フォロイング』以外は全部観てるのですが、社会上映時と2020年のリバイバル上映時も見逃し、「『インターステラー』は絶対映画館で観た方が良いぞ」という友人の進言もあり、ディスクメディアやVODでも一切観てなかった為、映画館で三度目の正直で鑑賞。IMAXのベースフォーマットである1.43:1サイズの画角をフルで使った宇宙シーンは凄まじい迫力でした。ドラマチックな展開も相待って、“ノーランの代表作”と呼ばれる所以をしっかり堪能出来ました。10年待った甲斐があった映画です。

【ネタバレなし】

続きを読む

『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声 (2024)』【80/100点: 狂い咲きおじいちゃん監督】

「邦題だっせ~ッ!」という根本的な欠点は置いておいて、リドリー・スコット監督らしい映像美と映像的なダイナズムを堪能できる超大作になっています。間もなく87歳のおじいちゃん監督がこんな若々しい映画を作ること自体が何より驚異的に感じるものの、今回は別の切り口で行われる「復讐」の話になっており、剣闘士として成りあがっていく様は前作同様に胸を躍らされます。

とはいえ、ラッセル・クロウホアキン・フェニックスという、前作の2大クセモノ俳優が演じたそれぞれのキャラが濃厚だったこと、且つ彼らのおかげで勧善懲悪がシンプルだった分、本作は色んな人の思惑が渦巻く政治劇に近い作りになっており、そこら辺は評価の別れ処なんじゃないかな、って思いました。

【ちょっとだけネタバレあり】

続きを読む

『十一人の賊軍 (2024)』【90/100点: 暴れん方時代劇】

ワタクシが大好きな『県警対組織暴力』の脚本家・笠原和夫が残したプロット(脚本の前段階)を基にしたという群像形式のアクション時代劇。笠原和夫の脚本なだけに、どことなく血生臭さやゲスな男たちが行うゲスな行動にも堂が入っており、『孤狼の血』で東映実録ヤクザモノを再現して見せた白石和彌監督の手腕が発揮されています。

「これ深作欣二作品じゃないか」と思ってしまうのもご愛敬で、『碁盤切り』では白石作品としても時代劇としてもだいぶ大人しかったこともあってか、そのハッチャケぶりはなかなか見応えがあり、個人的には結構楽しめました。

【ネタバレなし】

続きを読む

『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ (2024)』【55/100点: 親友登場の場面はグッときた】

2019年に日本でもヒットしたアメコミ原作のスリラー『ジョーカー』の続編で、世の中の生きづらい弱男が感化されて事件を起こしちゃったりなど、主人公アーサーの危険思想に対しても批判が上がったりした一作の続編ってことで結構期待されていたらしい続編だったようです。

蓋を開けてみたら凄まじい大コケ、良くも悪くも「これのどこが『ジョーカー』やねん」と思ってしまう内容になっており、どちらかというと前作で社会に揉まれてネジが外れてしまった“アーサー・フレック”の原罪の話になっています。ワタクシも前作よりは乗れなかったですが、思ってたより楽しめました。

【ちょっとだけネタバレあり】

続きを読む

『エイリアン: ロムルス (2024)』【90/100点: ドント・ブリーズ×エイリアン=正解】

遡ること45年前に、巨匠リドリー・スコットの圧倒的ビジュアルセンスの基に生まれた『エイリアン』シリーズの最新作。時代設定上は初代『エイリアン』の続編になっており、これまでのシリーズにあったエイリアンの生態を総浚いしつつも、それなのに破綻一切無しという超絶良作っぷりを発揮しています。

最初に結論を言うと、ええ、大傑作です。

元はディズニープラス(北米だとHulu)配信作品として製作されながら結果として劇場公開になったということで、昨今低調なディズニーにしては珍しく良い判断をしたような気がします。

【ネタバレなし】

続きを読む