おすぎむら昆の映画レビュー「あんなま」

鑑賞した映画に対して個人的な感想を書いていきます。

『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男 (2025)』【95/100点: 「事実」は誰に訴えれば良いのか】

2003年に話題になった福岡の「殺人教師」事件を映画化した法廷映画。実際にワタクシが中学の頃に話題になった事件で、例えば土日のニュースなどは連日この事件を報道していたのは何となく覚えています。その事件の内容は「教師が体罰を繰り返し生徒をPTSDに陥らせ、挙句の果てに自殺まで強要した」というもの。

結果としてこの事件は日本初の「教師による生徒虐め」が日本で初めて認定された事件になったとか。しかし、この事件に対して「この事件は全くの事実無根、“でっちあげ”だ」と声を上げたのが、その“殺人教師”の薮下教諭(綾野剛)その人。

身勝手で身の覚えのない訴えにより普通の生活を壊され、教師としても人間としても最悪の状態に持ち込まれるも、それでも自分の揺るぎない潔白のみを信じて裁判で戦おうとする“殺人教師”の姿を描く実話を基にしたドラマ。

ドンドン人が追い込まれる為展開としては胸糞悪く、後味もそんなに良くない映画ですが、今年一番面白かったですし、そして結構考えさせられます。ワタクシにとっては大傑作『オーディション』の監督である三池崇史がこのタイミングで最高傑作を作るとは、という驚きもあり、久々の最高点95点を献上します。

≪ネタバレなし≫

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『フロントライン (2025)』【85/100点: 「どこかで面白がってないですか?」】

コロナ禍初期の事件であった大型旅客船ダイヤモンド・プリンセス号船内の大規模クラスター感染の発生時に船内に派遣されたDMAT(災害医療派遣チーム)の人命救助作戦も描いたドラマ。小栗旬窪塚洋介松坂桃李池松壮亮とワタクシと同年代くらいの奥様が鼻血を出して喜びそうなメンツではありますが、対して本作の内容は事実を基にしている為、これ以上ないくらい真面目。

「邦画も頑張ってるじゃん」と思わされる映像のダイナミックさの中、本作で描かれるのは現場を掻き乱すマスコミの偏向報道や未知の脅威への無理解や差別と闘う医療関係者たち。『国宝』もワタクシは絶賛させて頂きましたが、本作も本作で大変良く出来た一作でございます。プロデューサーは、Netflix福島第一原発事故での吉田昌郎所長や原発職員の姿を描いたドラマ『THE DAYS』を作った元CXの増本淳。スタンスとしてはあのドラマとほぼ一緒です。

≪ネタバレなし≫

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『国宝 (2025)』【90/100点: 歌舞伎役者の「才能」と「血」とは】

任侠の家系に生まれ、色々経緯あって渡辺謙演じる花井一座と生活することになり、一流の女形歌舞伎役者として頭角を表すことになる青年・立花喜久雄の役者人生50年を追った人間ドラマ。

主演は年明けに色々あった吉沢亮ですが、別に茶化してるワケでもなんでもなく、誰がどう見ても大熱演をしています。ライバル役はこちらも若手俳優筆頭の横浜流星。「才能」か「血」、2人の対照的な青年を通して、歌舞伎という伝統芸能の数百年を辿る物語が描かれます。先に書いておきます。

傑作です。

≪ネタバレなし≫

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『ハボック (2025)』【70/100点: 映像もストーリーも全部“ハボック”】

トム・ハーディが主演し、『ザ・レイド』シリーズのギャレス・エヴァンスが手掛けたネトフリオリジナルのバイオレンス・アクション。

現代の「ハボック (Havoc)」は暴動とか大混乱を指す英単語で、そのタイトル通り、人間関係も入り乱れた大混乱の様相の中、『ザ・レイド』譲りのゴア感強め、人が撃たれれば吹っ飛ぶというウォルター・ヒル作品のような大袈裟なアクションシーンが面白い映画になっています。まあ、ストーリー自体も大混乱の状態になっているのは、あんまり褒められませんけど。

【ネタバレなし】

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『サブスタンス (2024)』【85/100点: 老化の恐怖と承認欲求を拗らせてモンスターに!】

かつての大スター女優が違法の再生医療に手を出して精神が崩壊していく様を描いた、昔のデヴィッド・クローネンバーグ監督っぽいSFボディホラー。精神だけでなく身体の様相まで変容していくエリザベスを演じるのは『ゴースト/ニューヨークの幻』など、実際に“かつての大スター女優”の1人であるデミ・ムーア

ブラット・パック出身の仲間であるトム・クルーズの『ミッション:インポッシブル』最新作と同時期に公開*1ということで、トムは「動き」、デミ・ムーアは「美」という、昨今の60代による超人的アンチエイジングを見せつけられ、非常に感慨深かったです。まあ、こっちもあっちも内容はブッ飛んでましたが。

【ネタバレなし】

*1:ちなみに日本だけ。海外では今年の1月までにほとんどの国で公開されている。

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