おすぎむら昆の映画レビュー「あんなま」

鑑賞した映画に対して個人的な感想を書いていきます。

『28年後… (2025)』【75/100点: 全裸追いかけっこは怖い】

ワタクシ個人的には現在までハズレ無し監督であるダニー・ボイルが20年ほど前に手掛けたイギリス製作のパンデミックスリラー『28日後…』、その続編でこれまた傑作だった『28週後…』に続くシリーズ3作目。

処女作『28日後…』の冒頭で描かれたパンデミック開始から数えて28年経ったイギリスのが舞台になっており、感染者(要はゾンビ)とは離れた隔離生活を送るコミュニティに住む家族の12歳の息子が主人公。父親役はアーロン・テイラー=ジョンソン、母親役はジョディ・カマーが演じています。

≪ネタバレなし≫

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『スーパーマン (2025)』【85/100点: 世界を救うのは真っ直ぐな心】

ジェームズ・ガン監督によるDCユニバース仕切り直しの一作。スーパーマンの単独作としては『マン・オブ・スティール』以来となりますが、“スーパーマン”を神に近い存在として描いたDCEUのキャラ設定に対し、クリプトン星から地球に降り立った以降は地球人として生活した“スーパーマン”として設定されており、完全無欠だったこれまでのスーパーマンと比べると結構脆い設定になっています。

≪ネタバレちょっとあり≫

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『F1® /エフワン (2025)』【90/100点: 映像体験がパワーアップした究極のレース映画】

ついに60代になった世界一EDWINのジーパンが似合う俳優ブラッド・ピットが「アイルトン・セナやM・シューマッハと互角で争った元F1レーサー」という、そんなデカい風呂敷広げて良いのか、と一瞬思ってしまう役柄を演じるモータースポーツ「F1 (Formula One)」が題材のアクションドラマ。監督やプロデューサー、脚本に撮影監督に音楽と、ほとんどが『トップガン・マーヴェリック』の布陣なんですが、実際に蓋を開けてみても、老年のベテランが若く有望な若者をサポートする内容と、骨子に関してはほとんど双子のようなソックリっぷり。

ただ、最初から最後まで「主人公」であり続けるトム・クルーズと、若手俳優相手に引くところはちゃんと引くフラットな立ち姿のブラッド・ピットの俳優としての色の違いが本作を『マーヴェリック』とは別物の映画にしています。撮影自体もIMAX規格の特製カメラやiPhoneを用いた特殊カメラで撮影されたとかで、『トップガン・マーヴェリック』で得られた知見と、本作の制作であるAppleの技術が集結した凄まじく臨場感の高い映像が楽しめます。ブラッド・ピットも「IMAXで観てほしいぜ」って来日の時に言ってたし、実際その通りです。なので、以前レビューした『トップガン・マーヴェリック』よりも5点多い90点です。

≪ネタバレなし≫

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『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男 (2025)』【95/100点: 「事実」は誰に訴えれば良いのか】

2003年に話題になった福岡の「殺人教師」事件を映画化した法廷映画。実際にワタクシが中学の頃に話題になった事件で、例えば土日のニュースなどは連日この事件を報道していたのは何となく覚えています。その事件の内容は「教師が体罰を繰り返し生徒をPTSDに陥らせ、挙句の果てに自殺まで強要した」というもの。

結果としてこの事件は日本初の「教師による生徒虐め」が日本で初めて認定された事件になったとか。しかし、この事件に対して「この事件は全くの事実無根、“でっちあげ”だ」と声を上げたのが、その“殺人教師”の薮下教諭(綾野剛)その人。

身勝手で身の覚えのない訴えにより普通の生活を壊され、教師としても人間としても最悪の状態に持ち込まれるも、それでも自分の揺るぎない潔白のみを信じて裁判で戦おうとする“殺人教師”の姿を描く実話を基にしたドラマ。

ドンドン人が追い込まれる為展開としては胸糞悪く、後味もそんなに良くない映画ですが、今年一番面白かったですし、そして結構考えさせられます。ワタクシにとっては大傑作『オーディション』の監督である三池崇史がこのタイミングで最高傑作を作るとは、という驚きもあり、久々の最高点95点を献上します。

≪ネタバレなし≫

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『フロントライン (2025)』【85/100点: 「どこかで面白がってないですか?」】

コロナ禍初期の事件であった大型旅客船ダイヤモンド・プリンセス号船内の大規模クラスター感染の発生時に船内に派遣されたDMAT(災害医療派遣チーム)の人命救助作戦も描いたドラマ。小栗旬窪塚洋介松坂桃李池松壮亮とワタクシと同年代くらいの奥様が鼻血を出して喜びそうなメンツではありますが、対して本作の内容は事実を基にしている為、これ以上ないくらい真面目。

「邦画も頑張ってるじゃん」と思わされる映像のダイナミックさの中、本作で描かれるのは現場を掻き乱すマスコミの偏向報道や未知の脅威への無理解や差別と闘う医療関係者たち。『国宝』もワタクシは絶賛させて頂きましたが、本作も本作で大変良く出来た一作でございます。プロデューサーは、Netflix福島第一原発事故での吉田昌郎所長や原発職員の姿を描いたドラマ『THE DAYS』を作った元CXの増本淳。スタンスとしてはあのドラマとほぼ一緒です。

≪ネタバレなし≫

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