おすぎむら昆の映画レビュー「あんなま」

鑑賞した映画に対して個人的な感想を書いていきます。

『近畿地方のある場所について (2025)』【75/100点: ホラークイーン菅野美穂映画】

小説投稿サイト「カクヨム」で連載された同名の連作型小説を、『ノロイ』や『コワすぎ!』シリーズの白石晃二監督が映画化した作品。小説自体は以前流行った『変な家』と同じく、様々なフッテージが集まって怪異や異変が見えてくるという、最近流行っているホラー作品のテクニックに則った内容で、小説版は文章で表現しているところを映画版ではほぼすべて素人投稿映像(もちろんフェイク)がフックになって進行する構成になっています。

昨年、映画化された『変な家』ではその肝心のフッテージ部分が不出来だったとかでホラーファンには総スカンで、ワタクシもまだ観ていないのですが、本作はフェイクのフッテージ映像が盛り盛り。これがね、なかなかに怖いんです。

≪ネタバレちょっとあり≫

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『ドールハウス (2025)』【70/100点: 人形と壊れた妻】

不慮の事故で娘を無くした長澤まさみ演じる佳恵が、失意の中見つけた日本人形を「子供」として育てる生活を送った末、その日本人形が引き起こす怪現象に巻き込まれるドールミステリー(なにそれ?)。“ドールミステリー”という聞いたことのないジャンル分けがされていますが、まあ早い話は普通にホラー映画です。

監督は『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』など、コメディ映画で知られる矢口史靖。意外にも割と怖い映画になっています。

≪ネタバレなし≫

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『28年後… (2025)』【75/100点: 全裸追いかけっこは怖い】

ワタクシ個人的には現在までハズレ無し監督であるダニー・ボイルが20年ほど前に手掛けたイギリス製作のパンデミックスリラー『28日後…』、その続編でこれまた傑作だった『28週後…』に続くシリーズ3作目。

処女作『28日後…』の冒頭で描かれたパンデミック開始から数えて28年経ったイギリスのが舞台になっており、感染者(要はゾンビ)とは離れた隔離生活を送るコミュニティに住む家族の12歳の息子が主人公。父親役はアーロン・テイラー=ジョンソン、母親役はジョディ・カマーが演じています。

≪ネタバレなし≫

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『スーパーマン (2025)』【85/100点: 世界を救うのは真っ直ぐな心】

ジェームズ・ガン監督によるDCユニバース仕切り直しの一作。スーパーマンの単独作としては『マン・オブ・スティール』以来となりますが、“スーパーマン”を神に近い存在として描いたDCEUのキャラ設定に対し、クリプトン星から地球に降り立った以降は地球人として生活した“スーパーマン”として設定されており、完全無欠だったこれまでのスーパーマンと比べると結構脆い設定になっています。

≪ネタバレちょっとあり≫

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『F1® /エフワン (2025)』【90/100点: 映像体験がパワーアップした究極のレース映画】

ついに60代になった世界一EDWINのジーパンが似合う俳優ブラッド・ピットが「アイルトン・セナやM・シューマッハと互角で争った元F1レーサー」という、そんなデカい風呂敷広げて良いのか、と一瞬思ってしまう役柄を演じるモータースポーツ「F1 (Formula One)」が題材のアクションドラマ。監督やプロデューサー、脚本に撮影監督に音楽と、ほとんどが『トップガン・マーヴェリック』の布陣なんですが、実際に蓋を開けてみても、老年のベテランが若く有望な若者をサポートする内容と、骨子に関してはほとんど双子のようなソックリっぷり。

ただ、最初から最後まで「主人公」であり続けるトム・クルーズと、若手俳優相手に引くところはちゃんと引くフラットな立ち姿のブラッド・ピットの俳優としての色の違いが本作を『マーヴェリック』とは別物の映画にしています。撮影自体もIMAX規格の特製カメラやiPhoneを用いた特殊カメラで撮影されたとかで、『トップガン・マーヴェリック』で得られた知見と、本作の制作であるAppleの技術が集結した凄まじく臨場感の高い映像が楽しめます。ブラッド・ピットも「IMAXで観てほしいぜ」って来日の時に言ってたし、実際その通りです。なので、以前レビューした『トップガン・マーヴェリック』よりも5点多い90点です。

≪ネタバレなし≫

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