おすぎむら昆の映画レビュー「あんなま」

鑑賞した映画に対して個人的な感想を書いていきます。

『ワン・バトル・アフター・アナザー (2025)』【65/100点: 題材の割に長い】

最近情けない中年男性ばっかり演じている俳優レオナルド・ディカプリオ主演のサスペンスアクション映画。レオが演じているのは、またしても情けない親父で、革命派のグループに所属していた過去がありながら、のっけからヤクをキメていたりとどうしようもない役柄。監督は“出来る方のポール・アンダーソン”こと、インディ映画の巨匠となったポール・トーマス・アンダーソン

≪ネタバレなし≫

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『リロ&スティッチ (2025)』【55/100点: 実写だとただの悪ガキに見える】

最近、不調続きのディズニー映画久々のヒットとなったという『リロ&スティッチ』の実写化。暴れん坊で悪ガキの宇宙人“スティッチ”は、声はアニメ版と同じくクリス・サンダース(日本版では山寺宏一)が続投しており、この人選をミスっただけで大コケ映画『白雪姫』の二の舞になったのは容易に想像できますが、さすがにディズニー的にも冒険は出来なかったが幸か不幸か、雰囲気からキャラ造形まで結構そのまんまな実写化になっています。

ある意味実写化の企画としてはどう見ても最適解ではあるんですが、『リロ&スティッチ』って元々内容的にも割と子供向け感が凄まじいこともあり、その点まで忠実に実写化されています。

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『ズートピア2 (2025)』【95/100点: 子供は笑って大人は考えさせられる】

動物たちが暮らす街“ズートピア”を舞台に、ウサギの警察官ジュディとキツネの詐欺師ニックが繰り広げるコメディアニメの約10年ぶりの続編。子供にも楽しめるキュートな世界観の中、展開されるのは割と本格的なサスペンスモノの内容になり、人種差別問題をモチーフにしてさらにDEIの要素もたっぷり盛り込みつつ、それがエンタメとしてちゃ~んと機能しているという、ディズニーの底力を見せつけられるような前作でしたが、本作でもその根底はそのまま、哺乳類から不当に差別を受けてきた爬虫類の存在を背景に、ズートピアに紛れ込んだ蛇のゲイリーを追うジュディとニックの姿が描かれます。

今回もエンタメたっぷり、社会派なメッセージ性もたっぷり。個人的には『トイ・ストーリー3』以来の最高のディズニーアニメだったと思います。

<ネタバレなし>

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『宝島 (2025)』【70/100点: 絶対にもっと長くした方が良かった】

東映が約25億円を掛けて製作した叙情詩的な人間ドラマで、沖縄県内の嘉手納基地周辺に住む若者たちの群像劇。邦画といえば10億円いかないくらいの製作費が相場ですが、その2倍をゆうに超える製作費。しかし内容は米軍基地問題を根底としただいぶポリティカルな内容。東映も攻めたなあと思っていたら案の定大コケをしているらしいんですが、沖縄が太平洋戦争中における日本唯一の決戦地であることの因縁なども盛り込まれており、この内容で大作を作ったこと自体は大変意義のあると個人的に思います。

ただ、描くべき要素が多かったこともあるのか、物語自体はかなり駆け足であり、人物設定や成り行きの唐突さも否めず、ワタクシ的には「2部作にするか、配信でシリーズ化するか」などの選択肢もあったんじゃないか、と思ってしまったのも正直本音です。若松孝二の映画ばりの政治的な内容ながら、この駆け足な点だけはとても残念な部分でした。

《ネタバレなし》

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『秒速5センチメートル (2025)』【90/100点: 決して自分の思い出じゃないのに懐かしい映画】

君の名は。』の新海誠監督による青春アニメの映画化。元々あんまりアニメを観ないので、『君の名は。』もはたまた原作『秒速5センチメートル』も観たことがないワタクシですが、他の映画を鑑賞した時に度々この実写版の予告編が流れており、すごい綺麗な映像が前から気になっていたので今回鑑賞。

予告編のまま、全編に渡って初期岩井俊二作品っぽい陰影の強い映像美や、四季の姿を主人公・貴樹の心象風景として作用させているオシャレな構成、戻れない過去へのノスタルジー的な感情やティーン故のまわりの見えなさなど、自分にもそんなことあったような無かったような的な絶妙な塩梅の10〜20代の思い出などが丁寧に積み重ねられており、青春ドラマとしてなかなか秀逸な作品でした。まあ「元が良いんだろうな」と言えばそれまでですけど。

《ネタバレなし》

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