おすぎむら昆の映画レビュー「あんなま」

鑑賞した映画に対して個人的な感想を書いていきます。

『バレリーナ : The World of John Wick (2025)』【80/100点: もちろん、女性版ジョン・ウィック】

キアヌ・リーヴス演じる伝説の殺し屋が滅多刺し皆殺しをするアクション映画『ジョン・ウィック』シリーズのスピンオフ映画。シリーズ3作目『ジョン・ウィック: パラベラム』で登場した殺し屋養成組織“ルスカ・ロマ”が大々的に取り上げられる内容になっており、主人公は父親を殺されて“ルスカ・ロマ”に引き取られた女性イヴ。そういえば“ルスカ・ロマ”出身だったジョン・ウィックも勿論登場し、ウィンストンやシャロンなどのシリーズお馴染みの面子も勿論登場。

いつの間にかトム・クルーズの彼女になっていた美人女優アナ・デ・アルマスが最強の女性暗殺者イヴを演じており、本編中の重要な登場人物が『ウォーキング・デッド』のダリル役のノーマン・リーダスだったり、アクションシーンは原作シリーズ譲りの激しさだったりと、かなり贅沢なスピンオフになっています。結構楽しめました。

【ネタバレなし】

お話

伝説の殺し屋ジョン・ウィックを生み出した組織「ルスカ・ロマ」で殺しのテクニックを磨き、暗殺者として認められたイヴは、ある殺しの仕事の中で、亡き父親に関する手がかりをつかむ。父親を殺した暗殺教団の手首にあった傷が、倒した敵にもあったのだ。

コンチネンタルホテルの支配人・ウィンストンとその忠実なコンシェルジュシャロンを頼り、父親の復讐に立ち上がるイヴだったが、教団とルスカ・ロマは、はるか以前から相互不干渉の休戦協定を結んでいた。復讐心に燃えるイヴは立ち止まることなく、教団の拠点にたどり着くが、裏社会の掟を破った彼女の前に、あの伝説の殺し屋が現れる。(映画.comより)

まんま『ジョン・ウィック』ワールド

シリーズの時系列的には『チャプター2』と前述の『パラベラム』の間なんだそうで、『パラベラム』であったジョン・ウィック訪問シーンの時にも、イヴとジョンは初対面してるという設定になっていて、これが終盤の伏線にもなっていたりします。ちなみに監督はシリーズすべてを率いているチャド・スタエルスキではなく、同じく戦う女性戦士が題材だった『アンダーワールド』シリーズのレン・ワイズマンだったりもするんですが、それでも雰囲気としてはほとんど『ジョン・ウィック』シリーズそのものなので、ワタクシのようなシリーズファンは確実に楽しめる映画になっています。

しいて言えば『ジョン・ウィック』シリーズの特徴である、毒々しい極彩色の映像じゃないって感じでしょうか。ホント、そのくらいしか「違い」が分かりませんでした。

戦うヒロイン:アナ・デ・アルマス

さて、本作の“戦うヒロイン”イヴですが、幼少期に最愛の父親を殺されて、復讐心を胸に“ルスカ・ロマ”で成長し、見事に皆殺しヒロインになるという人物設定になっています。キッカケとしてはある意味に映画あるあるのような単純さではあるんですが、そこまで内容に捻りが無い分、強くなるまでの過程がとても楽しめます。アナ・デ・アルマスと言えば、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』での「ドジだけど戦うと最強になる」という異色設定の新人スパイを演じて世の007オタクのオジサンたちに魅力を振りまいた過去がありますが、今回はそういうドジ感は無く、もう「最強」そのもの。これもこれでめちゃくちゃ魅力的で、打撃攻撃の時にはハイヒールを履いていたりするので、なんだかワタクシは全盛期広末涼子のドラマ『リップスティック』第1話の暴力シーンを思い出したりもしました*1

もちろんアクションチームも本家と一緒!

アクションの場面もジョン・ウィックシリーズと同じ世界最高と言われるスタントチーム「87 Eleven Action Design」が担当しているので、刺して撃って折ってと本家『ジョン・ウィック』譲りのやり過ぎなオーバーキルも徹底しており、「待ってました!」ってちょうど良いタイミングで結局ジョン・ウィックもバトルに参加してくるので、これがもうたまらなく良かったです。予告編でも若干登場する火炎放射器での撃ち合い(?!)という、おそらく映画史上初の映像も凄まじくカッコよく、満足感の高い映像がいっぱい登場するので、エンドロールの時のワタクシは軽く昇天寸前の幸福感がありました。

“スピンオフ”というと、ドスンと型落ちになるパターンが結構多いですが、本作は主人公が女性になっただけで『ジョン・ウィック』そのもの、というスピンオフ映画のお手本みたいな…まあ悪く言うと手堅い映画になっているんですが、シリーズが好きであれば気付ける小ネタもあったり、変わらないハードなアクションシーンなどで頭から尻尾まで楽しめました。ちなみに、『コンセクエンス』でドニー・イェンが演じていた盲目の暗殺者ケインが主人公のスピンオフも検討されているんだそうで、本作のイヴもナイスキャラだったので、本家シリーズとクロスオーバーなんて展開も嬉しいな、と思ったりもします。

関連作

osugimura-kon.net

*1:あ、全然関係ないですね。