トム・ハーディが主演し、『ザ・レイド』シリーズのギャレス・エヴァンスが手掛けたネトフリオリジナルのバイオレンス・アクション。
現代の「ハボック (Havoc)」は暴動とか大混乱を指す英単語で、そのタイトル通り、人間関係も入り乱れた大混乱の様相の中、『ザ・レイド』譲りのゴア感強め、人が撃たれれば吹っ飛ぶというウォルター・ヒル作品のような大袈裟なアクションシーンが面白い映画になっています。まあ、ストーリー自体も大混乱の状態になっているのは、あんまり褒められませんけど。
【ネタバレなし】
お話
心に傷を抱えながらも、街を牛耳ろうとする裏社会と闘っている刑事ウォーカー。ある日、一件の麻薬取引が失敗したことをきっかけに、報復を企む犯罪組織、汚職政治家、さらには警察内部の裏切り者からも命を狙われることになる。
混迷する状況の中、ウォーカーは絶縁状態にある政治家の息子を救い出そうと奔走。やがて街を覆う汚職と陰謀の深い闇を暴いていき、その過程で自らの過去とも向き合うことになる。(映画.comより)
話はすっごいB級
トムが演じるウォーカーはとある街の殺人課の刑事なんですが、街の有力者の汚れ仕事を請け負ったりと大変荒んでる刑事さんです。まあ要は悪徳警官ですね。そんな彼ですが、その有力者であるボーモント(フォレスト・ウィテカー)のバカ息子がやらかしてしまい、尻拭いを相談されます。
自分の今の現状に後ろめたさもあるウォーカーは「もうこんなことは最後だぜ」とその依頼を受けますが、そしたらあれよあれよと、中華マフィアの三合会(トライアド)やバカ息子を追う別の悪徳警官が入り混じる戦いに巻き込まれる、って話。こう纏めてみると、まあまあB級映画っぽい話でございますな。
OPは若干ズッコケるがそこからはハードな映像・展開
オープニングにある若干ゲーム映像のようなカーチェイスシーンにはズッコケそうになりましたが、それを超えて骨太な雰囲気でお話は進みます。とはいえ、割と単純な話なので先は大体読める物語だったりもします。ここは良くも悪くもって感じではありますけど。
ただ、アクションシーンは『ザ・レイド』シリーズ譲りとも言える周辺の武器をたくさん使い、敵をほぼ確でオーバーキルで殺すような演出は徹底しており、もう見事にアンダーグラウンド感を感じさせてくれます。当然ながら血もいっぱい出るし、たまに臓物も出ちゃうし、と派手というか悪趣味というか、特に後半からはそんな映像がバンバン登場します。
「こいつ誰だっけ?」
とはいえ、ストーリーに関しては前述の通り、まあまあ分かりやすいというメリットはありつつも、その単純さに対して明らかに説明不足を感じるキャラクターの多さなので、確実にほとんどの人が「こいつ誰だったっけ?」思うだろう印象の人物もチラホラ。モブっぽいキャラですら、何だか思わせぶりな雰囲気で出てくるので、もっともっと分かりやすい人物の引き算をしてればより面白かったんじゃないか、なんて思ってしまった部分です。
とはいえ、元々悪人っぽい顔をしているトム・ハーディはとてもカッコよく、中盤からトム演じるウォーカーの相棒となるエリーの、作品中唯一と言えるくらいの正義感で行動する実直な警官の2人で組まれる名バディ感はとても良かったです。やりすぎなアクションシーンも観てる間は非常にテンションが上がるので、爽快感を感じること請け合いです。まあ、もうちょいストーリーが完成度高ければ良かったんですけどね。勿体ないなあって感じです。