おすぎむら昆の映画レビュー「あんなま」

鑑賞した映画に対して個人的な感想を書いていきます。

『近畿地方のある場所について (2025)』【75/100点: ホラークイーン菅野美穂映画】

小説投稿サイト「カクヨム」で連載された同名の連作型小説を、『ノロイ』や『コワすぎ!』シリーズの白石晃二監督が映画化した作品。小説自体は以前流行った『変な家』と同じく、様々なフッテージが集まって怪異や異変が見えてくるという、最近流行っているホラー作品のテクニックに則った内容で、小説版は文章で表現しているところを映画版ではほぼすべて素人投稿映像(もちろんフェイク)がフックになって進行する構成になっています。

昨年、映画化された『変な家』ではその肝心のフッテージ部分が不出来だったとかでホラーファンには総スカンで、ワタクシもまだ観ていないのですが、本作はフェイクのフッテージ映像が盛り盛り。これがね、なかなかに怖いんです。

≪ネタバレちょっとあり≫

お話

オカルト雑誌の編集者が行方不明になった。彼が消息を絶つ直前まで調べていたのは、幼女失踪事件や中学生の集団ヒステリー事件、都市伝説、心霊スポットでの動画配信騒動など、過去の未解決事件や怪現象の数々だった。

同僚の編集部員・小沢悠生はオカルトライターの瀬野千紘とともに彼の行方を捜すうちに、それらの謎がすべて“近畿地方のある場所”につながっていることに気づく。真相を確かめようと、2人は何かに導かれるようにその場所へと向かうが、そこは決して見つけてはならない禁断の場所だった。(映画.comより)

前半はあり得ないくらい怖い

ざっくり言うと、前半はフェイク映像が主、後半は菅野美穂赤楚衛二のドラマパートになっておりますが、フェイク映像ブロックは殺人級に怖いものの、後半はなんとなくヌル~っと進みます。

冒頭で大きな伏線があり「もしかして」と気が付いたら、割とそのまんまなラストになっている点には失笑しつつも、ラストの風呂敷の畳み方がものすごく豪快でエンタメしているので、ワタクシ的にはそれはそれで結構楽しめました。フェイク映像として素人撮影の映像や配信映像など、それぞれがやたらと本物っぽい解像度の高さで、前半の怖さはとてつもないことになっています。

一番怖いのがニコ動の配信映像で、出ている出演者の演技(?)がやたらとリアルな分、配信者特有の後戻り出来ない感じ雰囲気もある悪ノリ的な雰囲気も相まって異様に怖いです。そんな感じの前半はほとんど生きた心地もしないんですが、なんとなくひと段落したところで、菅野美穂赤楚衛二のドラマが本格始動し始めます。ホラー映画あるあるである「なんでそんなとこ行くねん」「要らんことに首ツッコんで…」みたいな、ホラー映画あるあるを全部やってくれるので、その点も相まって非常に楽しめました。

ストーリーはだいぶ弱い

ただ、ホラー映画って基本的にストーリーが結構弱い、という点も良くも悪くもそのままで、冒頭の時点から思わせぶりに出てくる“あの人”がやっぱり黒幕だった、というのはほとんどの人が察しがつきそうな気がするので、もうちょい捻りがあればもっと面白かったのになとは思いました。終盤の展開も賛否両論の様相ではありますが、個人的に大胆な風呂敷の畳み方は嫌いではないものの、あまりにも強引なので否定の人の気持ちもおおいに理解出来ます。

そんなワケで、ひとまず前半はとっても怖く、後半は「あれれ」って感じの映画になっておりますが、少なくとも前半に関しては久々に恐怖演出でドキドキする怖さもあり、個人的には結構これまで観た映画の中でも怖い映像になっていました。また、菅野美穂の怪演もまた見事で、「そういえばこの人ホラー映画でデビューだもんな」という点を思い起こした人も少なくないはず。夏映画としては割とちょうど良いかもしれません。

カクヨム』上のページは下記

kakuyomu.jp

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