トム・クルーズ主演映画として約30年に渡り続いているスパイアクションシリーズの続編。前作『デッドレコニング』に引き続き、ロシアの潜水艦セヴァストポリに搭載されていたAI“エンティティ*1”が引き起こした軍事的な大反乱とそれを利用しようとするヴィランに対して、トム演じるスーパースパイのイーサン・ハントが立ち向かうというお話。「それもうターミネーターの世界観じゃん」というツッコミはしてはいけませんよ。
尚、ワタクシは池袋グランドシネマサンシャインのIMAXシアターで鑑賞したんですが、IMAXで鑑賞すると、本編前にトム本人による特別メッセージが観れるというサービス付きだったりします。実際、トムが言うように完全にラージフォーマット対応の映画なので、ワタクシもIMAXで観た方が良いと思います。
【若干ネタバレあり】
お話
人工知能エンティティの破壊を目指すイーサンは、ソースコードが眠る潜水艦にたどり着くため単身で行動。そこであえて逮捕され、米大統領に近づく。一方、残されたチームは潜水艦の所在地を求めて行動し、かつてCIAのアナリストだった意外な人物に遭遇する。(映画ナタリーより)
より悪化(笑)したトムのジャッキー化
さて、前作に引き続き、取って付けたようなストーリー、シリーズおなじみとも言える学習能力ゼロの脳筋イーサン・ハントの行動、そしてそれらの合間に挟まれるトム本人による超人的スタントが異様に面白い、というだいぶトンチンカンな構成になっております。バカにしてるみたいな書き方ですが、褒めてるつもりです。要はジャッキー・チェンの映画と同じノリ。
命がけスタントの連続
そんなワケで映画史上最狂ともいえる脳みそが筋肉なスパイことイーサン・ハントが活躍する本シリーズなワケですが、前作『デッドレコニング』のタマヒュンどころじゃないバイク崖落ちスタントよりもさらにすごい複葉機スタントをなど見所たっぷりの娯楽作になっております。
その複葉機スタントが、あまりにもすごいガチスタント故か、そのスタントシーンのほぼすべてにおいて『トイ・ストーリー』のラストで、バズと一緒にロケットで吹っ飛ぶウッディみたいな顔をしているトムには笑わされましたが、考えてみれば60歳超えのおじいちゃんがこんなことやってる時点でとんでもないことなワケです。
破滅的でパンクな行動の嵐
よくよく振り返ってみたらイーサンの行動自体も褒められたモンじゃないくらい破滅的でパンクです。何故彼はスパイになれたのか、ということを気にしてはいけないワケで、作品を追うごとに知性と理性が欠けていってる印象のイーサンも、本作に関しては狂人の域です。
「逃げた敵を追う」「飛行機を追う」という劇中何度かあるアクション映画おなじみの場面は「とりあえず一度走る*2」が基本フォーマットになっており、特に前者に関しては「車使えば良いじゃん」というデカい釣り針のツッコミ所があったり。とはいえ、その後も「何も考えず極寒の海に飛び込むイーサン」「深海でパン1になるイーサン」など、「それはひょっとしてギャグでやってんのか」と思ってしまう場面も多数。
話が込み入っているが…たぶんそれは気にしなくて良い
一応、前作『デッド・レコニング』の伏線を筆頭として、シリーズで謎が残った部分も回収していくみたいな、総決算的な話にはなっているんですが、それらも回収してんだかしてないんだか分かんない感じなのは正直本音で、ストーリーも「取って付けた雰囲気」とはいえ、色々巡っていく為にだいぶ回りくどい話になっています。
しかし、個人的にはまあそんなことはどうでも良いんじゃないか、とも思えてしまうくらいのボリュームなんです。だってストーリーがどうでも良くなるくらいスタントシーンとか、イーサンの病気過ぎる脳筋っぷりが面白いんだもの。
イーサンではなくトムの狂気
そんなワケで、シリーズ最長の尺3時間に渡ってイーサン・ハント…というかトム・クルーズの狂気を見せつけられるというアッパレな内容になっており、「誰かトムを本気で止めないと死んじゃうぞ」と思わされる一作です。
トムの今の彼女があの今をトキメク美人女優アナ・デ・アルマスということもあり、本作の狂人スタントを、2人でイチャつきながら観ていることを想像すると悔しいことこの上ないですが、40年近くスターとして第一線を走り続けるトムの底力を見せつけられるような一作でした。
ラストに関しては「感動した」という声もチラホラありますが、ワタクシ個人としては「まだやる気あるんかい」と思ってしまいます。元々の原作である『スパイ大作戦』の脚本家である故ブルース・ゲラーも天国の草葉の陰で泣いてるんじゃないかと思わされる、「トム・クルーズ100%」の傑作です。