おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『プレデター: ザ・プレイ (2022)』【70/100点: 噛み合わないハイテクとアナログ】

20世紀フォックス(現在の20世紀スタジオ)の人気シリーズ『プレデター』のフランチャイズ最新作。前述の20世紀フォックスが2019年にディズニーに吸収合併されてしまったので、ディズニー主導では初となる『プレデター』の新作となります。

【ネタバレなし】

お話

300年前のアメリカを舞台に、ネイティブアメリカン最強の部族に生まれ育ち、自身も戦士である女性ナルが、宇宙から飛来した高度な科学技術を有する危険な戦士プレデターを相手に、壮絶な戦いを繰り広げる。(映画.comより)

舞台は過去だけど内容は今風

現代劇がベースであったシリーズ群からは打って変わって*1、開拓期以前の300年前のアメリカが舞台で、登場するキャラクターも往年の西部劇などでお馴染みのコマンチ族たち。舞台設定だけでなく、シリーズとして共通していた人間側の集団行動も今回はあまり無く、主人公ナルは基本単独行動しているなど、ある程度現代的な観点から構成の見直しが図られています。

一方でプレデターの行動原理は、あくまで“狩り”として人間と闘う宇宙人として描かれており、この点は過去作を踏襲しています。殺害方法も手持ちの兵器をフル使用する点、フィジカル最強っぷりも相変わらずで、基本は光学迷彩で行動する卑怯者っぷりも同じです。

ジェネリックな『アポカリプト

先住民たちが登場人物ということで、ワタクシが大好きな映画『アポカリプト』を思わせる泥臭い戦闘が連発します。コマンチ族の皆さんも狩りがメインのお仕事なだけに、プレデターとの戦闘になっちゃうのも割と自然な流れなので、この点は秀逸だなと思いました。

つまり、原題『Prey』の通り、プレデターコマンチ族も狩り=捕食(Prey)が生業なので、この敵と味方の行動の対比がストーリーのメインになっているというワケですね。

シュワちゃんは弱かった」みたいな話

プレデターを“宇宙人”としてではなく“種族”として登場させるという、アイディアは非常に良いと思ったんですが、残念なことに先住民の設定が足を引っ張ってる印象も正直ありました。

そもそも、初代『プレデター』を振り返ってみると、あのシュワちゃんが演じた筋肉ムキムキのダッチ少佐ですら、銃火器をめちゃくちゃ使用した上で、ギリギリでイーブンにならずに勝利した最強宇宙人が「プレデター」だったんですが、本作の原住民側のアナログさとプレデターの最強兵器での激闘があんまり噛み合ってないような気も。

概ねは面白かったし、アイディアも良かったとは思うんですが、その点が気になっちゃって。まあヒマつぶしには良い映画だったと思います。

*1:一応補足。『プレデター2』だけ、ちょっとだけ近未来の世界が舞台。