おすぎむら昆の映画レビュー「あんなま」

鑑賞した映画に対して個人的な感想を書いていきます。

『トロン: アレス (2025)』【75/100点: ナイン・インチ・ネイルズのMV】

CGを初めて映画に用いたと言われる『トロン』から始まる仮想世界「グリッド(空間)」が舞台となるシリーズ三作目。三作目と言っても、初代から前作『トロン:レガシー』までは28年、前作から15年ぶりの新作となっており、コンテンツとしての権利保持の為に続編を作ってるんじゃないか、と疑いたくなる製作スパンの長さにも定評があるシリーズです。今回は“アレス”と言う主人公が「グリッド」から飛び出して現実世界に現れる、というシュワちゃんの『ラスト・アクション・ヒーロー』のような世界観になっております。

≪ネタバレなし≫

お話

AIプログラムを実体化する画期的な発明によって開発された、AI兵士のアレス。“彼”は圧倒的な力とスピード、優れた知能を持ち、倒されても何度でも再生できる史上最強の兵士だった。だが、現実世界で人間を知ったアレスにある“異変”が起きる。やがて、制御不能となったAIたちは暴走を始め、デジタル世界が現実世界を侵食していく。果たして、アレスの驚くべき目的とは・・・?(ディズニーの公式ページより引用)

取って付けのような話、観たことがある場面

ストーリーに関しては割と「あっそ」レベルで何の深みもなく、「何でわざわざ仮想世界の監視プログラムを兵器にしようと?」と、序盤ですら結構デッカイハテナマークが出てしまう話なものの、デジタル時代の本調子というか、ビジュアルの美麗さや迫力は圧巻で、その上で初代『トロン』の描き割りのような「グリッド」の世界も出てきたりと大盤振る舞い。

チェイスシーンなどは『スターウォーズ』や『マトリックス』の影響を感じさせ、AI同士の争いということで『ターミネーター』、現実世界でのライトサイクルのチェイスシーンは『ダークナイト』シリーズや『AKIRA』っぽかったりと、言ってしまうとオリジナル性一切皆無という割り切ったパクリ?精神は賞賛に値します。

ナイン・インチ・ネイルズ」の映画

そんなワケで話なり映像は、まあ前述の通り既視感の凄まじさもあり、「そこそこ」レベルの映画なんですが、『ソーシャル・ネットワーク』以降、映画音楽家として大成したトレント・レズナーが今回、自身が率いているナイン・インチ・ネイルズ名義でサントラを担当しており、まあこれが結構カッコいいのなんの。本作が面白いと感じた部分もおそらく3~4割は音楽の力なんじゃないかと思う部分もあり、NIN特有のけたたましい音が大変盛り上げてくれます。

興行成績としては、結構な大コケをしていまったようですが、そこそこのストーリーはまあ普通に楽しめる一作になっており、何よりナイン・インチ・ネイルズの音楽が全編ずっと流れるという、音楽ファン必見の映画になっています。もしかしたら、この映画はナイン・インチ・ネイルズの2時間にも渡るPVなのかもしれません。