おすぎむら昆の映画レビュー「あんなま」

鑑賞した映画に対して個人的な感想を書いていきます。

『ズートピア2 (2025)』【95/100点: 子供は笑って大人は考えさせられる】

動物たちが暮らす街“ズートピア”を舞台に、ウサギの警察官ジュディとキツネの詐欺師ニックが繰り広げるコメディアニメの約10年ぶりの続編。子供にも楽しめるキュートな世界観の中、展開されるのは割と本格的なサスペンスモノの内容になり、人種差別問題をモチーフにしてさらにDEIの要素もたっぷり盛り込みつつ、それがエンタメとしてちゃ~んと機能しているという、ディズニーの底力を見せつけられるような前作でしたが、本作でもその根底はそのまま、哺乳類から不当に差別を受けてきた爬虫類の存在を背景に、ズートピアに紛れ込んだ蛇のゲイリーを追うジュディとニックの姿が描かれます。

今回もエンタメたっぷり、社会派なメッセージ性もたっぷり。個人的には『トイ・ストーリー3』以来の最高のディズニーアニメだったと思います。

<ネタバレなし>

お話

あらゆるタイプの動物たちが平和に暮らし、「誰でも夢をかなえられる」という理想の楽園ズートピア。ウサギで初めて警察官になるという夢をかなえたジュディは、以前にも増して熱心に任務にあたり、元詐欺師のニックも警察学校を無事卒業して警察官となった。再びバディを組むこととなった2人は、ズートピアに突如現れた指名手配犯のヘビ、ゲイリーを捜索するため、潜入捜査を行うことになる。ゲイリーは一体何者なのか。やがてジュディとニックは、ゲイリーと爬虫類たちが隠すズートピアの暗い過去にまつわる巨大な謎に迫っていき、その中で2人の絆が試されることとなる。(映画.comより)

エンタメと偏見描写の両立

物語は前作の直後から始まり、観る映画を間違えたと錯覚するような『リーサル・ウェポン』シリーズっぽいド派手なアクションシーンからスタート。この時点でニンマリしちゃうオモシロさなんですが、そんなてんやわんやの中、ズートピアから排斥されている爬虫類の蛇をジュディとニックが発見し、その姿を追うという話。前作と変わらず、序盤ではジュディとニックに関しても「偏見を持っている側」という構図がされており、ディズニーアニメらしいユーモラスな展開の中、嫌味のない塩梅で「差別」の解消の難しさが描かれます。

「親友」のジュディとニック

ジュディとニックの関係性も見事で、男女バディモノは変な関係になりがち、というハリウッド映画あるある的な不安はあったものの、ちゃんと「親友」として話は進みます。このベストフレンドっぷりが時にトラブルを生み、その度に2人は窮地に立たされます。なんて上手い関係性の描き方なんだと太鼓判を押したくなるくらい。初登場となる蛇のゲイリーや陰謀論者のビーバーである二ブルズもキャラが強烈で、全く飽きさせません。

大人の方が楽しめるのかも

前作でも言われてました(というかワタクシも以前書きました)が、下手すれば子供よりも大人の方が楽しめるんじゃないかと思ってしまうくらいディープな世界観と物語が相も変わらず秀逸で、本作では舞台がコロコロ変わることもあり、紛う事なき傑作だった前作よりもパワーアップしていました。

前作公開以後、「なんで『ズートピア』って立派なケースモデルがあるのに、ディズニーは軒並み失敗してるんだろ」と思ってしまうくらい、製作側と鑑賞側の意識のズレが著しかったディズニーでしたが、『ズートピア2』はその点何にもブレてなかったので本当に安心しました。10年越しの素晴らしい傑作です。