おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『南極物語 (1983)』【75/100点: 死にそうな顔の高倉健と渡瀬恒彦】

名作映画として名前が上がることの多い映画ですが、ワタクシはこれまで1フレームたりとも観たことがなく、事前情報もヴァンゲリスによる有名なテーマ曲くらいの状態でした。

ほぼ全編で苦虫を噛み潰したかのような仏頂面の高倉健渡瀬恒彦のキャラクターを生かした演技に、どう見ても無茶なロケを敢行しているのがありありと分かる映像の迫力はなかなかのモノでした。

【ネタバレなし】

お話

昭和33年2月、例年にない悪天候という事態に南極観測第一次越冬隊はやむなく15匹のカラフト犬を南極の地に置き去りにした。そのうちの2匹の兄弟犬、タロとジロの生存が約1年後の昭和34年1月、第三次越冬隊によって生きて発見された。

この"奇跡の生存"は世界中を感動の渦に巻き込んだ。南極の雄大な風景を背景に、食料もない厳寒の地でひと冬を乗り切った2匹の犬の過酷なサバイバル生活と、置き去りにせざるを得なかった越冬隊員たちの苦悩のドラマを交錯させながら感動的に描いた超ヒット作。(映画.comより)

前半はベタなドラマ、後半はほぼドキュメンタリー

フジテレビの映画らしいかなりシンプルな内容で、これが北海道とかで撮影されてたらとんでもない駄作になったであろうストーリーな気もします。

とはいえ、内容の弱さを映像の迫力でカバーしており、それもそのはずで実際の南極や北極圏で撮影がされていたそうで、「なるほど、俳優陣の死にそうな顔はマジなんだ」と些か納得してしまいました。

そのくらい壮絶な映像になっており、特に後半になってからは野生で生きる犬と氷河の映像によるディスカバリーチャンネルのような映像と、高倉健が陰気な顔で犬の飼い主たちに謝り倒す映像で編集されているので、なかなか異様な構成になっています。

gendai.media

映像が壮大が故に、若干間延びしている

尺が長いせいもあってか若干間延びしてるように感じるシーンもあり、特に高倉健を責め立てた後に、再度高倉健の前に現れて「リキ(樺太犬)は良い犬だったんです」と勝手に思い出を語ったら去っていく荻野目慶子演じる麻子に至っては、「結局アイツはなにがしたかったんだ」という感じです。終始一方的に喋られる無口な健さんが不憫に感じました。

ただ、元気が有り余ってたフジテレビの凄さがよく分かる映画だった為、気になるところは多いものの個人的には結構楽しめました。高倉健自身も役者冥利に尽きるとお気に入りの一作が本作だったそう。

確かにそれも頷けるパワフルな映画だったと思います。