おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『ARGYLLE/アーガイル (2024)』【75/100点: ポッチャリウーマンの奮闘】

ヘンリー・カヴィルブライス・ダラス・ハワードのダブル主演による、Apple Originalのスパイアクションコメディ映画。厳密に言うと、ブライス演じるエリーがメインパーソンの映画で、スパイ小説で有名になった女性作家が本物のスパイの諜報戦・肉弾戦に巻き込まれる、というのが基本プロット。

スパイ同士のバトルにオバチャン作家が何故か巻き込まれるが、実はこのオバチャン作家にも秘密があって…という、ハード系ウーマンアクション映画の傑作である『ロング・キス・グッドナイト』みたいな内容になっています。

【ネタバレなし】

お話

謎のスパイ組織の正体に迫る凄腕エージェント・アーガイルの活躍を描いたベストセラー小説「アーガイル」の作者エリー・コンウェイは、愛猫アルフィーと一緒にのんびり過ごす時間を愛する平和主義者。新作の準備を進めている彼女は、アルフィーを連れて列車で移動中に謎の男たちに命を狙われ、エイダンと名乗るスパイに助けられる。

やがて、エリーの小説が偶然にも現実のスパイ組織の行動を言い当てていたことが判明。エリーの空想のはずだった世界と、命を狙われる現実との境界線が曖昧になっていくなか、敵の一歩先を行くべく世界中を駆け巡るエリーだったが……。(映画.comより)

ノリは女性版『キングスマン

監督は『キングスマン』のマシュー・ヴォーンの為か、アクションシーンはジェネリックな『キングスマン』といった感じで、パッと見だけでも「あー、これ『キングスマン』の人だなあ」と分かる映画です。ただ、『キングスマン』の特徴でもあった唐突な残虐シーンが今回一切無いのが大きな違いといったところです。マシュー・ヴォーンの映画としては『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』以来の全年齢対象の映画だそうで。

ブライス・ダラス・ハワードが可愛い

主人公は『ジュラシック・ワールド』のブライス・ダラス・ハワードで、こんなおバカな映画の為に役作りとして太ったのか、ファットスーツなのかは分かりませんが、だいぶポッチャリな中年を演じています。

そんな見た目だからなのか、40歳超えでポッチャリなブライスがドテドテ動く感じはやたらと可愛らしく、気がつけばすごいカッコいい女性になっているという展開も、何となく説得力があります。

話はほぼ『ロング・キス・グッドナイト』

先に軽く触れた通り、ストーリーに関してはジーナ・デイヴィス主演のアクション映画『ロング・キス・グッドナイト』と似通って…というよりほぼ一緒なので、あの映画観たことある人だと「観たことあるなこの内容」となってしまうこと必至。

両作品ともサミュエル・L・ジャクソンも出てくるので、たぶんあえてこの内容になっているんだと思いますが、『ロング・キス・グッドナイト』を観たことがある人だと割と強烈な既視感に襲われる映画になっています。

↓この映画↓

一つ難点は劇中劇と本編が噛み合ってない

エリーが書いた小説という設定の劇中劇が本編内容とあんまり噛み合ってないような雰囲気があったのは正直気になったところで、アーガイル=エリー自身という図式は分かるものの、何か設定として無理やり感が薄らあります。エリーが、高橋留美子みたいな“女性作家だけど男目線で物語を描く人”、ってのは何となく分かりましたが。

とはいえ、暇な時間で観るならば充分に楽しめる映画だったので個人的にはアリです。あとエンドクレジットで流れるボーイ・ジョージとアリアナ・デボースのデュエットソング「Electric Energy」がやたらとカッコいい曲だったのも個人的には良かったですね。

“Electric Energy” (From Argylle) Official Music Video