脊髄に穴を開けて、その穴にゲームのコード(バイオポート)を差し込んでプレイするVRゲーム“バイオポッド”をテーマにした映画で、ワタクシが大好きな変態映画の巨匠デヴィッド・クローネンバーグによるグチャドロでエログロバージョンの『マトリックス』的な世界観が描かれます。
ラストまで観ても、結局のところ何が言いたいのか良く分かんない映画なんですが、そこは変態映画の巨匠、映像表現がなかなか秀逸なんですね。良い意味でも悪い意味でも。
【ネタバレなし】
お話
未来、人々の娯楽は脊髄に生体ケーブルを直結してプレイする究極のヴァーチャルリアリティ・ゲームだった。ゲーム界のスターである美貌の天才ゲームデザイナー、ゲラーの新作ゲーム“イグジステンズ”の発表会で、ゲラーは小動物の骨でできた銃を持つ男に襲われる。
たまたま居合わせた警備員見習いのパイクルは重傷のゲラーを託され、間一髪で混乱する会場から逃げ出した。脊髄の損傷を恐れゲームをプレイしたことがないパイクルだったが、ゲラーに説き伏せられ2人でゲームを始めることになる。(映画.comより)
意味不明な内容が癖になる
ストーリーの序盤は、産業テロを受けたゲーム開発者がボディガード的な存在となった警備員と逃げ回るサスペンスなのですが、掴みもほどほどにゲーム世界と普通の日常が行ったり来たりすることで、中盤辺りからはアート映画のようにめちゃくちゃな展開になります。
登場人物の喋ってることももはや良く分からん単語ばかりになることもあり、一本の作品としての体裁はかなりギリギリの映画なんですが、それでも面白いと感じる映画ではあるので、クローネンバーグ監督の天才さを色濃く感じる一作です。
グロいガジェット
秀逸なのが、とにかくグロいガジェットまわりの描写で、前述のゲームポッドは両生類の内臓から出来てることもあるので、壊れると外科手術が必要になります。「何言ってんの?」と思う設定なのですが、だって本当にこんな設定なんですモンよ。
しかも、外科手術場面は臓器から血がブチューってしたりと異様に生々しいので、クローネンバーグ監督の常軌を逸している脳内を垣間見せてくれます。この人正真正銘の変態なのだな、と。
根柢のメッセージ性だけは何となく分かる
一応、根底のテーマとしては「殺人ゲームをやり過ぎると人間性失っちゃうぞ」的な、老人の要らぬメッセージ的なテーマもあるっぽいんですが、いかんせんそんなメッセージを素直に受け取れないくらい映像表現が狂っているので、日常では絶対に見れない悪夢的な映像が観たい人には必見としか言いようのない一作です。
世評的にそんなに良くない映画らしい…まあ「そりゃそうだろうね」と思う映画なんですけど、ワタクシ的にはそれなりに面白い映画だと思ってます。
大々的にオススメは出来ない映画ですが。
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