おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー (2016)』【85/100点: ちゃんと戦争してる“スターウォーズ”】

オリジナル・トリロジーの第一作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』のちょっと前の世界を舞台にした映画になっており、本作の内容もデス・スターの設計図奪還を行うチーム“ローグ・ワン”の面々の活躍が描かれます。

【ネタバレなし】

お話

銀河全体を脅かす帝国軍の究極の兵器“デス・スター”。その設計図を奪うため、ジン・アーソは無法者たちによる反乱軍チーム“ロ—グ・ワン”に加わり、不可能なミッションに立ち向かう。その運命の鍵は、天才科学者であり行方不明の彼女の父に隠されていた。(映画ナタリーより)

オリジナル・サーガのちょっと前の話

本作にとって最も重要なのが、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』のオープニング・クロールで記述される「反乱軍はついにデス・スターの設計図奪還に成功した」という内容で、要は前述のデス・スターの設計図奪還作戦を行ったのがチーム“ローグ・ワン”だった*1、というストーリーが本作『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の根底になっております。

製作裏がニュースになるほど壮絶だった

監督はハリウッド版『GODZILLA/ゴジラ』のギャレス・エドワーズで、当初は「戦争映画として制作している」というエドワーズ監督の発言もあったものの、ディズニーでの試写にてその戦争映画路線が大不評だったことで大規模再撮の情報が発表される*2など、映画公開まではなかなかに不安要素たっぷりだったのも記憶に新しいです。

そんなこんなあってノンクレジットで別の監督が雇用されるなど、ちょっと調べるだけでも舞台裏で色々あったらしい一作なのです。そんな混沌とした現場だったのに、『スター・ウォーズ』サーガの中でも出色の傑作となりました。本作公開後の『スター・ウォーズ』シリーズが『マンダロリアン』を除くとさすがにあんまりな内容ばかりだったこともあり、少なくとも2010年代の『スター・ウォーズ』シリーズの中では一番面白いと断言できる映画でしょうね。

他作品の微妙さの原因って、これまでの『スター・ウォーズ』過去作のキャラクター頼りな点が原因だとワタクシは思っており、この要素が薄いものの世界観はしっかりと尊重している本作『ローグ・ワン』や『マンダロリアン』がヒットしたのは当然っちゃ当然な気がします。

スター・ウォーズ』シリーズ初の”戦争映画”

他作品の愚痴は置いておいても、本作『ローグ・ワン』では『スター・ウォーズ』の世界観でガチ戦争アクション、としてまとめてくれているのは個人的に高得点なワケです。内容からしてエピソード3からエピソード4を空白期が描かれる為、特にエピソード4が大好きなワタクシはなかなか面白く鑑賞が出来ました。

ラストの展開も『スター・ウォーズ』が好きなら興奮が止まらないだろう、ダース・ベイダーレイア姫の登場。これは気持ちをすべて持ってかれるような気分でした。

脇役の輝き

マッツ・ミケルセンドニー・イェンと、映画通好みの人選もなかなか秀逸。マッツは泣かせてくれるし、ドニーは相変わらずキレキレアクションで魅せてくれます。

スピンオフという点だけでなく、『スター・ウォーズ』シリーズとしてもトップクラスの面白さを擁した一作で、若干重めなストーリーも含めて、『スター・ウォーズ』シリーズの新境地を開拓した印象もある映画です。ただ、その後『スター・ウォーズフランチャイズの盛り上がりは浮き沈みが激しいですが…

*1:つまり、『エピソード4』での反乱軍大勝利はローグ・ワンの活躍のおかげってことですね。

*2:元々のエドワーズ監督の方針が、『スター・ウォーズ』の世界観に『ブラックホーク・ダウン』のようなゴリゴリの戦争アクション要素を取り入れようとした、という点は容易に想像出来ます。まあ、それはディズニーの方針には沿わなかった、と。