おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『MINAMATA ミナマタ (2021)』【75/100点: 日本が目を背ける水俣病とは?】

日本の四大公害病として認定される“水俣病”がテーマの人間ドラマ。主演は、最近は色々とプライベートが大変なジョニー・デップで、本作のプロデューサーも兼ねて出演。

ジョニーの離婚裁判でのネガキャンや日本の汚点の大事件を取り扱ってることもあり、映画自体の完成から足掛け2年近い延期を経て劇場公開されるなど、ちょいマイナスイメージが強い映画です。しかしながら、何となく観てみたら結構面白いドキュメンタリードラマでした。

【ネタバレなし】

お話

1971年、ニューヨーク。かつてアメリカを代表する写真家と称えられたユージン・スミスは、現在は酒に溺れる日々を送っていた。そんなある日、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市チッソ工場が海に流す有害物質によって苦しんでいる人々を撮影してほしいと頼まれる。

そこで彼が見たのは、水銀に冒され歩くことも話すこともできない子どもたちの姿や、激化する抗議運動、そしてそれを力で押さえ込もうとする工場側という信じられない光景だった。衝撃を受けながらも冷静にカメラを向け続けるユージンだったが、やがて自らも危険にさらされてしまう。追い詰められた彼は水俣病と共に生きる人々に、あることを提案。ユージンが撮影した写真は、彼自身の人生と世界を変えることになる。(映画.comより)

超豪華な日本人キャスト

実話を基にしている為、雰囲気は非常に重苦しいのですが、日本側の俳優陣は真田広之國村隼浅野忠信加瀬亮と、海外映画多数出演の演技派が揃い踏みだったので、演技面は非常に力が入ってる様子でした。

主人公ユージン・スミスを演じるジョニーもその点は然りで、近年の粗野っぽいパブリックイメージを逆手にとってるような、荒っぽい社会派カメラマンを力強く演じています。小汚い髭もじゃだしで、おおよそスパロウ船長と同一人物とは思えないのは、さすがジョニーの演技力たる部分かなと思います。

強烈な水俣病描写

水俣病に関する描写もなかなか強烈で、実際の映像や写真を織り交ぜつつまとめており、正直結構キツい場面もあるんですが、色々気を遣って甘々な映画になるよりはこっちの方が全然良いと思います。過去とはいえ、そんなに前の話でもないので、「昔の熊本でこんなことがあったのか」とシンプルに興味を持ちながら鑑賞出来ました。金がかかったNHKスペシャル、って感じです。

近年は凡作続きだったジョニーの出演作の中じゃ、ワタクシ的には結構好きな方です。ちゃんと公開されてたら真っ当に評価されていたような気もするので、つくづくアンバー・ハードは罪作りなことをしてくれたな、なんて思います。ただ、とてつもなく雰囲気が重い映画なので、気合い入れて鑑賞した方が良いのも事実です。