傑作『インデペンデンス・デイ』のローランド・エメリッヒ監督お得意のパニック映画の新作。1億5000万ドルという巨額の製作費をかけた映画ながら、全米公開の際になんと1/15程度の1000万ドルしか稼げず、興行上だと言うまでもなく記録的な大爆死をした映画です。加えて、映画批評家の皆様からは酷評の嵐。
そんなこんなあって、日本公開は見送られてアマプラ配信のみでの公開に。でも、ワタクシ的には結構面白かったです。
【若干ネタバレあり】
お話
原因不明の力によって月が本来の軌道から弾き出され、あと数週間で地球に激突するという驚くべき事実がNASA(アメリカ航空宇宙局)にもたらされる。
NASAは現地調査を試みようとするが、同時に組織内部で、とある情報が隠ぺいされていたことが発覚する。地球と月を救うため、NASAの副部長ジョー・ファウラー、過去のある事件からNASAをクビになった元宇宙飛行士のブライアン・ハーパー、天文学博士を自称するKC・ハウスマンの3人が立ち上がり、未曽有の危機に立ち向かう。
21世紀の映画とは思えないブッ飛びストーリー
まず、設定がブッ飛んでおります。内容としてはタイトルの『ムーンフォール』の通り、「月が地球に落ちてくる!」というトンデモ本みたいな内容を大真面目に取り上げており、地球が大変なことになっているのにひたすら前向きで陽気なキャラクターたちなど、割とそのまんま『インデペンデンス・デイ』フォーマットです。
取ってつけたような家族愛的なお話も相変わらずではありますが、「ダメ親父が地球を救う為に奮闘」というエメリッヒ印のキャラ設定はもはや様式美ともいえるでしょうね。ホント、この設定好きなんですねエメさんは。
パニック描写は完全にエメリッヒ印
めちゃくちゃ製作費が掛かっている為か、パニックシーンもこれでもかってくらい派手派手で、「そんなやったら再帰不可能だろう」と思ってしまうくらいに都市部をめちゃくちゃにしていきます。で、中盤くらいで、実はこの都市破壊は月にいる宇宙人*1が原因だ、ってこれまたトンデモなことが発覚するのですが、潔いくらいに力技な設定で爆笑でした。
重力が発生したり消えたり、酸素があったりなかったり、重大なことは基本直前決定、唐突な自己犠牲精神など、突っ込んだらキリがない映画なんですが、どうしてか嫌いになれない不思議な魅力のある映画です。娯楽とバカの両面を持っている映画ですからね。すごいバランス感覚ですよ。
本作こそ『インデペンデンス・デイ』の続編である
『ID4』の続編『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』があんまりにも酷い駄作だったという点もありますが、それに比べたら本作は格段に良く出来ていたと思います。というか、本作でも宇宙人を取り上げているなら、この映画を『インデペンデンス・デイ』の続編に位置づけりゃ良かったのに。
少なくともローランド・エメリッヒ監督の過去20年遡ったフィルモグラフィの中なら、普通に一番面白い映画だったと思います。とはいえ、やっぱり『インデペンデンス・デイ』には敵いませんが。
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*1:「そもそも宇宙人ですらなかった」という、こちらもまたブッ飛んだラストにも繋がる点もニコニコ。あ、自分でも何言ってるのか良く分かんなくなってきました。