おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『デューン 砂の惑星 PART2 (2024)』【85/100点: 新たな続編映画の傑作】

前作『DUNE/デューン 砂の惑星』は「ここから何か始まるんだな…」と思いきやそこでエンドクレジットが始まるという、要は何も始まらないで結末になった異色作だったので、「前は映像は良かった分許容したけど、もう一回同じことされたらキレてしまうかも」という気持ちで今回のPART2を観に行きました。

うん…めちゃくちゃ良かったです。今回はちゃ~んとストーリーも動いており、キャラクターの素性も見え始めて分かりやすく、映像も「極上の丼でございます」みたいにとんでもないことになっています。

【ネタバレなし】

お話

その惑星を制する者が全宇宙を制すると言われる砂の惑星デューンで繰り広げられたアトレイデス家とハルコンネン家の戦い。ハルコンネン家の陰謀により一族を滅ぼされたアトレイデス家の後継者ポールは、ついに反撃の狼煙を上げる。

砂漠の民フレメンのチャニと心を通わせながら、救世主として民を率いていくポールだったが、宿敵ハルコンネン家の次期男爵フェイド=ラウサがデューンの新たな支配者として送り込まれてくる。

「救世主だあ!」

前作の直後から始まり、ハビエル・バルデム演じる惑星アラキス(デューン)の先住民族フレメンの部族長に「アンタはこの星の救世主だ!」と言われ、「うわ、何か荷が重いなあ」みたいなテンションになってる主人公ポールが冒頭で描かれます。

前作に引き続き若干陰気なポールですが、主人公らしく基本的にすべてのポテンシャルが高いので、フレメンでも数年かかるような技の習得もあっという間にこなしてしまい、あれよあれよとフレメンの仲間入りを果たします。

スケールデカすぎ案件

正直言うと、砂漠版の『マトリックス』みたいな話だな、とワタクシは思ったんですが、前作で焦らしに焦らされた分、本作ではハッチャけたかのようにアクションが応酬してくる感じです。部分的にしか登場しなかった”砂虫(サンドワーム)”も大量に登場し、「映画館のスピーカー壊れるんじゃないか」と思うくらいの爆音と共にダイナミックな場面を大いに盛り上げてくれます。

アクションシーンもいちいちスケールがデカく、陸と空からのバトルの数々から、「我々が観たかった『スターウォーズ』ってこれだったんじゃないかな」と本気で思ってしまいました。息を飲むような映像の綺麗さも相まって「何かワイ、どエライもん観てるで」みたいなとんでもない感情になってしまうのは間違いないでしょう。ぜひディズニーの皆さんには、本作を観て頂き、ご感想を賜りたいところでございます。

前作(約150分)はすべて伏線だった

前作ではずっと平坦だったストーリーも、本作では話が進むごとにテンションが上がっていくような見事な章立てがされていて、「ちょっと何言ってんのか分からない」的なセリフはありつつも、前述のアクションシーンのダイナミックさもあって終盤はアドレナリンが最高潮になります。PART3も見越してるんだと思いますが、意味深な場面も結構あり、それはそれで解釈も楽しめます。

そんなワケで、「前作PART1の意味深さはすべて伏線だった」という衝撃はありつつも、そんな点も込みで楽しめた一作。続編映画としては久々の大当たりな内容になっており、ドゥニ・ヴィルヌーヴの映画としても『ブレードランナー2049』のような巧みさを感じる骨太なSFアクション映画でした。あ、そういえば予告編の通り、IMAXで観るのがオススメです。