アンデス山脈に墜落した飛行機から奇跡的に生還した人々の地獄のようなサバイバル体験することになった「ウルグアイ571便墜落事故」の実話を映画化した内容で、監督は『ジュラシック・ワールド/炎の王国』のJ・A・バヨナ。
「ジュラシック・ワールドは雇われた仕事だもんで」と言わんばかりのエンタメ性皆無な壮絶描写はまるで高倉健の『八甲田山』のようで、高評価も頷けるサバイバルドラマでした。
【ネタバレなし】
お話
1972年。ラグビー選手団を乗せてチリへ向かっていたチャーター機のウルグアイ空軍機571便が、アンデス山脈中心部の氷河に墜落した。乗客45名のうち生存者は29名。想像を絶する過酷な環境のなかに取り残された彼らは、生き延びるために究極の手段を取らざるを得ない状況に追い込まれていく。(映画.comより)
「あれ、観たことあるぞ」
割と年季の入った映画好きならば確実に中盤くらいまでには気付くと思うんですが、本作はイーサン・ホーク主演のサバイバルドラマ『生きてこそ』とソックリさんレベルで似ているお話。何故かってと、元ネタの事件が一緒だから。厳密に言うと登場人物の名前も被っているんですが、ワタクシ自身も中盤くらいでその事実に気がついたワケです。
映像技術は進化する
とはいえ、『生きてこそ』って内容の割と凡作だった故にあんまり記憶に残らない映画だった覚えがあるんですが、いかんせん20年も時間差があれば描写も進化するワケで、本作は特に序盤は地獄のような描写に溢れています。無慈悲にグチャる飛行機に、『生きてこそ』でも描かれた「食べ物がないんで⚫︎⚫︎を食べよう…」の場面もかなり精神的にくる雰囲気です。
知らない俳優ばかりの臨場感
俳優陣が知らない人ばっかりというのも臨場感を高めており、ほぼ素人俳優でこんだけ上手くまとまっているのは個人的に『ユナイテッド93』以来じゃないでしょうか。それゆえに映画的な「あの人カッコいい」的な場面、正直一切無いんですけど、それだけ息苦しいくらいシリアスな雰囲気が全編が充満しています。
ワタクシ個人的に高所恐怖症なので、本作の高所のドラマはかなり強烈だったんですが、半分ホラーみたいなサバイバルを繰り広げる本作のドラマは目を見張るモノがありました。しいて不満を言えば、映画館で観たかったことくらいです。