おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『アリータ:バトル・エンジェル (2018)』【80/100点: どこからどこまでがCGか分からない映画】

木城ゆきとによるサイバーパンク風のアクションコミック『銃夢』のハリウッド映画化作品。

元は『タイタニック』が大ヒットした直後のジェームズ・キャメロン監督が制作に乗り出していた経緯もあり、実際にワタクシが高校くらいの時点で「『タイタニック』のキャメロン監督が『Battle Angel (銃夢)』と宇宙を舞台にしたSFアクションを同時制作か?」という、エイプリルフールみたいなニュース*1が堂々と出ていた記憶があるので、『銃夢』の映画化自体、結構肝入りの企画だったようです。

【ネタバレなし】

お話

数百年後の未来。スクラップの山の中から奇跡的に脳だけが無傷の状態で発見されたサイボーグの少女アリータは、サイバー医師のイド博士によって新たな体を与えられ、目を覚ます。しかし彼女は、自分の過去や今いる世界についてなど、一切の記憶が失われていた。

やがてアリータは、自分が300年前に失われたはずの最終兵器として作られたことを知り、そんな兵器としての彼女を破壊するため、次々と凶悪な殺人サイボーグが送り込まれてくる。アリータは、あどけない少女の外見とは裏腹の驚異的な格闘スキルをもって、迫り来る敵たちを圧倒していくが……。

J・キャメロンの雇われに徹した鬼才ロドリゲス

キャメロンと親交のあった『シン・シティ』のロバート・ロドリゲスが監督となり、上記の苦節20年に渡る製作期間を経て公開となったのが本作『アリータ:バトル・エンジェル』となります。バカバカしい映画ばかりのロドリゲス監督ですが、さすがにキャメロン直々指名のビッグプロジェクトということもあってか、今回は“ダイナミックな映像”“家族愛”など、「偽キャメロン」として職人監督に徹しています。

展開は鬼のように早い!

「アリータとイド博士の出会い」「アイアンシティの舞台説明」「賞金稼ぎ?モーターボール?」と、オープニングから舞台設定の説明に忙しい映画なのですが、それらの説明シーンが終わるとまあ心地いいくらいに展開が早い映画です。

ここら辺は重箱に包みたがりなキャメロン監督と、カジュアルで軽い印象のロドリゲス監督の明確な違いとも取れますが、定期的にある見せ場が分かりやすく、それぞれちゃんと整理されているのは好印象です。

映画館じゃないと価値半減

本作ですが『アバター』や最近だと『DUNE/デューン 砂の惑星』と同じく映画館視聴が推奨されるような、シネマエクスペリエンス的な側面もあり、テレビ画面で観るとやはりだいぶ迫力が落ちます。

ワタクシは品プリのIMAXデジタルシアターで、映像のヴィジュアルのカッコよさ含めて非常に興奮をした印象があり、本作を映画館ではなくメディア媒体で視聴している人は非常に勿体ないな、と本気で思います。

映像技術の凄さ

アバター』譲りとも言える、CGキャラクターの表情の豊かさも秀逸で、完璧すぎるCG映像によりアリータの感情変化を余すところなく映像化しています。公開前には「アリータが気持ち悪い」と不気味の谷現象的な謎ネガキャンもありましたが、前述の表情の映像も含めて、どこからがCGなのか分からないくらいに映像がリアルなので、個人的には全然気にならなかったです。

今になって続編計画があるらしい

jp.ign.com

映画ファンとしてはキャメロン監督版の『銃夢』も観たいのは正直本音ですが、『アバター』続編プロジェクトがあと3作くらいあるらしいので…もはやキャメロン監督版を期待するのは無理ですね笑。

アバター ウェイ・オブ・ウォーター』のプロモーションの際に、プロデューサーのジョン・ランドーが「『アリータ』の続編についてロドリゲス監督と最近話しているんです」と言っていたので、可能ならば是非とも実現してほしいですね。

関連作

osugimura-kon.net

*1:確か映画秘宝のニュースだったかと。当然ながら、“宇宙を舞台にしたSFアクション”が後の『アバター』だったりもします。