おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『ネクスト・ゴール・ウィンズ (2023)』【65/100点: 悪くはないけどふざけすぎ】

日韓ワールドカップの際のオセアニア地区予選で「0対31」という衝撃の点差を叩き出して、FIFA公式の不名誉記録として残るアメリカ領サモアの代表チームが再起を目指すスポーツコメディ。

誰も悪い人が登場しない美談である反面、監督の地のコメディ気質が色濃く出てしまったのか、不必要に思えるギャグシーンがやたらと多く、「長々真面目に話聞いてみたら結論どうでも良い話だった」的な後味を感じてしまいました。

【ネタバレなし】

お話

米領サモアのサッカー代表チームは、2001年にワールドカップ予選史上最悪となる0対31の大敗を喫して以来、1ゴールも決められずにいた。次の予選が迫る中、型破りな性格のためアメリカを追われた鬼コーチ、トーマス・ロンゲンが監督に就任し、チームの立て直しを図るが……。(映画.comより)

実録ドキュメンタリーが基になった話

10年ちょっと前のドキュメンタリー『ネクスト・ゴール!』がベースになっているらしく、基本的にはサッカー版『クール・ランニング』的なノリ。実話を基にしているから、当然ながらハッピーエンドなんですが、そのくらい紋切り型のサクセスストーリーになっている感じです。

前半は笑える

憎まれ口を叩きながら熱血指導をするマイケル・ファスベンダー演じるトーマスがまたカッコよく、しゃがれ声になるまで選手を指導しまくる様子は胸が熱くなります。そんな熱血漢に対して米領サモアの選手たちはどこかのどか且つ牧歌的で、「日曜日はお祈りがあるので…」と練習を拒否ったりします。この展開は笑えました。

後半は正直飽きる

こんな感じで、純粋なスポーツのサクセスストーリーにサモアの(どちらかというと)ご当地向けギャグ的なのが挟まる、という映画になっており、前半は普通に面白いものの、後半から「いや、もう良いよ」と薄っすら思ってしまいます。何となく「笑ってあげなくちゃ」的な気持ちも感じてしまうところで、後半のハイライトである公式選での初勝利を飾る展開は些かもっとマジメに纏めてくれても良かったんじゃないの、なんて感じました。

映画の出来としては全然悪くない映画ですが、どうにかしてギャグを入れてやろうみたいな、監督の悪い癖が出てしまったのでは。とにかくそこだけはちょっと残念でしたね。