おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『NOPE ノープ (2022)』【70/100点: 後半にノレない】

コメディアン出身ながら今やスリラーの大御所になりかけているジョーダン・ピール監督の最新作。主演も『ゲット・アウト』のダニエル・カルーヤ

本作もスリラー寄りの映画となりますが、民間信仰的な泥臭いカルト感がホラー演出のスパイスとなっていた『ゲット・アウト』と『アス』と比べると、本作は割と真っ当なSFスリラーって感じです。

【ネタバレなし】

お話

田舎町で広大な敷地の牧場を経営し、生計を立てているヘイウッド家。ある日、長男OJが家業をサボって町に繰り出す妹エメラルドにうんざりしていたところ、突然空から異物が降り注いでくる。その謎の現象が止んだかと思うと、直前まで会話していた父親が息絶えていた。

長男は、父親の不可解な死の直前に、雲に覆われた巨大な飛行物体のようなものを目撃したことを妹に明かす。兄妹はその飛行物体の存在を収めた動画を撮影すればネットでバズるはずだと、飛行物体の撮影に挑むが、そんな彼らに想像を絶する事態が待ち受けていた。(映画.comより)

UFO映画

ポスターからも分かる通りUFOが題材なワケで、序盤の畳み掛けるような不穏な雰囲気はなかなか絶品だったと思います。“UFO”も割と早い段階で登場し、不快な音響でこちらを怖がらせてくれます。

内容も現代的な視点のUFOモノになっており、貧乏兄妹がYouTubeでバズって一攫千金する為にUFO撮影を計画したら命を狙われる、なんて割とシンプルな内容。その中でピール監督お得意の現代風刺的な一面もチラホラと出てくるっちゅうワケです。なので、オープニングからの時点では、名作の予感がプンプンしていました。

「UFOの正体」に全然ピンとこなかった

…が、ワタクシ的には後半以降の、「このUFO…実は…?」って展開になってからのストーリーが若干「?」という気持ちになってしまいました。正体が結構ショボくないかな、なんて思っちゃったんですね。
この“UFO”の正体が発覚してから、本作は怒涛のスペクタクル展開になっていくのですが、それもそれで「前半と雰囲気が違い過ぎないか」みたいな。

前半が秀逸だっただけに、後半から終盤にかけての歪なバランスはかなり気になりました。これはちょっと残念でしたね。ということで、今回は“普通”評価の70点ってことで。

B級SFでお馴染みのみなさん

ただ、『未知との遭遇』や『AKIRA』など、過去作のオマージュ(パクり?)は映画好きには結構楽しめるモノになっているとは思います。あと、キース・デヴィッドマイケル・ウィンコットなど、往年のSF映画でお馴染みの面々の登場も良かったです。それだけに、やはり後半が残念。