おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『アバター ウェイ・オブ・ウォーター (2022)』【90/100点: 映画館で観ないと魅力半減】

圧巻の映像でございます。控えめに言っても現代最高峰の映像美なんじゃないでしょうか。かなり前からニュースでは上がっていましたが、ジェームズ・キャメロン監督が劇場公開に拘った理由を理解出来ましたし、映画館のポテンシャルをフル活用した映画と断言出来ます。そのくらい映画館ではハンパではない没入感の強烈な映像美だったのですが、ディスクメディアやサブスクで観ると果たして…

その事実が怖くて、2022年末に映画館で2回観て以来、ワタクシはおウチでの再鑑賞が出来ていません。おウチ鑑賞したら評価を著しく下げてしまうと思うので、一旦表題の点数で採点致しました。

※理由は後述

【ネタバレなし】

お話

地球からはるか彼方の神秘の星パンドラ。元海兵隊員のジェイクはパンドラの一員となり、先住民ナヴィの女性ネイティリと結ばれた。2人は家族を築き、子どもたちと平和に暮らしていたが、再び人類がパンドラに現れたことで、その生活は一変する。神聖な森を追われたジェイクとその一家は、未知なる海の部族のもとへ身を寄せることになる。しかし、その美しい海辺の楽園にも侵略の手が迫っていた。(映画.comより)

前作『アバター』の衝撃を超えた

前作の公開の時、ワタクシはハタチ直前だったのですが、ケツの青い人間であったワタクシでも映像に圧倒されたのが前作『アバター』でした。主に映画とゲームで使用されるCG技術の一つであるパフォーマンス・キャプチャーの技術進化に全面的に貢献したとされる『アバター』ですが、そんな革命的な映画の13年ぶりの続編ということで、本作の公開前だと実は期待半分の不安半分でした。

理由としてはシンプルで、いかんせん前作から年数が経ったこと、目が3D慣れ・CG慣れしてしまった、の2点からです。なので正直、あくまで『アバター』の単体の続編として見に行った節も若干あったのですが、いやいや、それでも映像が凄過ぎる。

何がすごいって、HFR(ハイフレームレート)の映像なんですよ。この「フレームレート」とは、映像業界をやっている人間ならば常識の、1秒間におけるシャッタースピードのことで、通常の映画だと24fps(枚)/秒のところ、本作は48fps/秒と倍のフレームレートとなっております。

フレームレートが倍に増えたからってそんなに変わるの?」と思われる方もいるかもしれませんが、普通に素人目でも全然違うと思います。HFRの恩恵に関して、ワタクシが一番感じたのはCGと実写映像の境目がもはや分からなくなっていることで、その上で本作はデジタル3Dということで、鑑賞中は惑星パンドラに自分がいるかのような気持ちでした

割と生々しい「家族」のストーリー

前作だとシンプルなヒーローとヒロインの薄口な物語だった印象ですが、今回は実時間と合わせて10数年経ってるお話。主人公のジェイクとネイティリは夫婦に、ジェイクに至っては“アバター”としてではなく、完全なナヴィの族長として生活しています。年頃の子供も数人おり、普通に子持ちのおじさんとして養育に手を焼いています。

ここら辺の描写がなかなか生々しくて面白かったです。世のお父さん方は「おぉ…」ってなるんじゃないでしょうかね笑。子供の1人(厳密には養子)にアラ古希のシガニー・ウィーバーが演じるキリがいるんですが、見事なまでに14歳の女の子を演じております。

まさかのクオリッチ大佐の復活

前作と変わらない部分としては、地球人(スカイピープル)のほとんどは悪いヤツらで、「惑星パンドラを侵略してやる」と脳筋且つ封建的な発想はそのままです。

前作でスカイピープルを裏切ってナヴィ防衛に追力したジェイクは単純に人間側の裏切り者なので、それが諸々のトラブルの原因になり、このおかげで海の街メトカイナに居住を移します。ということで、“ウェイ・オブ・ウォーター(水への道)”ってワケですね。

その折で、前作で死んだはずのクオリッチ大佐がまさかの“アバター”の姿で生きてたってことで、自分の本体が死んでることに怒り心頭のクオリッチ大佐がネチネチしつこくジェイクを追います。こんな感じで家族を巻き込んだ鬼ごっこ状態で、これによりストーリーの緩急も激しかったこともあり、個人的には前作よりも遥かに面白かった印象ですね。

家で観ると魅力半減するのでは…

ただ本作、おそらく映画館の大画面で観て真価を発揮するような映画なので、2DもといVODやBlu-rayで観るとかなら、本作の魅力は確実に半減してしまうと思います。仮に、「マジ俺いま景気良いんで、自宅内でホームシアターと音響に100万円かけました!」みたいなブルジョアな人だとしても、本作を4KUHDで本作を観たとて、それでも映画館鑑賞での実質「体感出来る」とも思えた鑑賞体験にはだいぶ程遠いんじゃないかなと思います。

やはり、「餅は餅屋」的な…。

なので、ワタクシが次回、本作を観る時は間違いなく映画館でと思います。故に今後リバイバルが無ければ一生観れない、ということにもなりますが。。。