『孤狼の血』など、昨今のアウトロー映画でお馴染み白石和彌監督の初時代劇。主演は草彅剛で、囲碁の達人で寡黙な浪人という表裏一体な役柄を演じております。血と暴力といった印象のある白石監督の作品としては、だいぶお上品な印象の映画で暴力シーンもほぼ無いのですが、本作のキーアイテムである囲碁の場面がなかなかスリリングでとても面白かったです。
囲碁の場面の迫力がとても見応えがあり、一見地味なテーブルゲームがスクリーンを通すと大迫力に見える、という点は侘び寂びを感じました。
【ネタバレなし】
お話
身に覚えのない罪をきせられたうえに妻も失い、故郷の彦根藩を追われた浪人の柳田格之進は、娘のお絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らしていた。実直な格之進は、かねて嗜む囲碁にもその人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心がけている。そんなある日、旧知の藩士からかつての冤罪事件の真相を知らされた格之進とお絹は復讐を決意。お絹は仇討ち決行のため、自らが犠牲になる道を選ぶが……。(映画.comより)
カッコいい囲碁シーン
つよぽんが演じているのは、冤罪で藩を追われて故郷を追われた浪人の柳田格之進で、その娘のお絹を最近上り調子の清原伽耶ちゃんが演じています。浪人の柳田が、脱藩の原因になった仇の復讐を行おうとするってのが本筋で、殺陣の代わりに囲碁がある的な内容になっているのです。
ちょっと前に『麻雀放浪記2020』で、内容はアレだったけど麻雀シーンはやたらカッコよかったのが個人的にすごく印象に残っている白石監督ですが、本作でもそれは一緒で囲碁シーンはバリバリに決まっております。白石監督らしいバイオレンスシーンの代わりに囲碁シーンがある感じで、命懸けの囲碁とかほとんど観たことないので面白かったです。
白石監督で一番お上品
基本的にずっとシリアスな内容なんですが、清原伽耶ちゃんがすごい凛としてるのが良い清涼剤になっており、今では珍しいくらいヒロイン感があって良かったです。色々あって柳田から逆恨みされる國村隼と中川大志は可哀想でしたが、それぞれ印象に残るポジションでした。
これまでの白石和彌作品だと最もお上品な映画で、オーソドックスな時代劇の面白さと白石監督らしい泥臭さが合わさって良い映画になってました。オチだけ拍子抜けだったのが残念ではありましたが、スリルのある現代的な時代劇に見応えを感じました。