おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『ストップ・メイキング・センス (1984)』【80/100点: デヴィッド・バーンの圧倒的体力に驚愕】

80’sのニュー・ウェイヴ・バンドの代表格であるアメリカのロックバンド「トーキング・ヘッズ」のライヴムービーで、奇天烈ホラーでお馴染みのスタジオ「A24」がリマスターを担当し、40年前の映像とは思えないくらい解像度の高いルックスでこの度IMAX公開。

ライブムービーで良くある「この曲はこんなメッセージがあって…」みたいな余計なインタビュー場面等もなく、ひたすらトーキング・ヘッズ…というかボーカルギターのデヴィッド・バーンがステージで縦横無尽に暴れまわっているのをひたすら眺めるような、パンクで珍妙な作品なんですが、これがなかなどうして結構面白いのです。

内容

1980年代の音楽シーンに変革をもたらしたアメリカのロックバンド「トーキング・ヘッズ」が1983年に行った伝説のライブを記録したドキュメンタリー。(映画.comより)

ドキュメンタリーなのにスタッフが超豪華

ライヴムービーなんでストーリーもクソもないんですが、監督は後に『羊たちの沈黙』を撮るジョナサン・デミ、撮影は『ブレードランナー』のジョーダン・クローネンウェス*1、タイトルデザインは『博士の異常な愛情』や『メン・イン・ブラック』のパブロ・フェロだったりと裏方がエライことになっております。そもそも、デヴィッド・バーン自身も本作のちょっと後に『ラストエンペラー』で坂本龍一と共にアカデミー音楽賞を受賞したりと、音楽シーンに名を残す偉人なんですが、それだけ強烈な個性の方々が集まっているだけあって、とにかく観ていて気持ちいいのなんの。

フリーダムなボーカル

デヴィッド・バーンの音楽性ダダ洩れなファンクやアフロビートのロック音楽はとにかく映像映えしまくっており、映画館ということをふと忘れてしまうくらいの圧倒的没入感はまさに圧巻。

デヴィッド・バーン自身も、もはやあっち行ったりこっち行ったり状態で、果てはステージを全力疾走で走り回る、それなりにデカいランプシェードを振り回すなど、もうフリーダム状態なのでこちらも見応えたっぷりでした。

伝説のライブ

「伝説のライブ映画」と呼ばれている本作ですが、確かに迫力はとんでもないことになっており、その没入感のおかげで会場に居るかと錯覚してしまうくらいの大迫力な映画でした。IMAXで鑑賞した際に、映画館では自然と拍手が漏れていましたが、気が付いたら自分も拍手してしまっているくらい、本作の中にのめり込むような強烈な一作だったと思います。

*1:ちなみに超ウンチクなんですが、本作でカメアシを担当していたのは後にデヴィッド・フィンチャー作品の常連カメラマンになるジェフ・クローネンウェスとのこと。名前の通り、ジョーダン・クローネンウェスの息子。