おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『グレイマン (2022)』【85/100点: マジメと見せかけた頭空っぽアクション】

アメコミサーガ『アベンジャーズ』シリーズのルッソ兄弟が監督したアクション映画。ライアン・ゴズリングが主人公シックスを演じており、そのシックスと対峙する悪役ロイドをクリス・エヴァンスが演じております。

脇を固めるのも、相変わらずカッコ可愛いアナ・デ・アルマス、エキゾチック美女として話題のジェシカ・ヘンウィック、『ワンハリ』の名演も記憶に新しい天才子役ジュリア・バターズと、旬のキャスト勢揃いといったところです。

【ネタバレなし】

お話

通称「グレイマン(見えない男)」と呼ばれる優秀なCIAの工作員コート・ジェントリーは、ある日、組織の超重要機密を知ってしまったことから、命を狙われるはめになる。非情な工作員のロイド・ハンセンはコートに賞金をかけ、あらゆる手段を使ってコートを仕留めようとするが……。(映画.comより)

頭空っぽで楽しめる

予告編の雰囲気から、小難しい内容なのかな、と勝手に思っていたのですが、潔いくらいに至ってシンプルなスパイ物といった感じです。Netflix製作の映画としては史上最大の製作費2億ドルとのことで、「お腹いっぱい!」と思ってしまうくらいの特盛アクションとなっていました。「そうそう、ちょうどこういうのが見たかったんだよ」と。

内容は前述の通り至ってシンプルで、基本的なプロットは“CIAの機密情報を手に入れた主人公が世界中を駆け巡り逃げ回る”ってくらいの内容。まるで90年代ブロックバスターのアクション映画のような、どことなく懐かしさを感じる作風です。

行く先々で「爆破」「カーチェイス」って感じで、もはやほぼ全編が見せ場と言っても過言ではありません。それがランタイム140分続くモンですから、いやはや「ネトフリさんありがとう」ってな感じです。

ライアン・ゴズリングがめちゃカッコイイ

加えて、ライアン・ゴズリングが冒頭の刑務所の場面から異様にカッコいいので、このキャスティングの時点で本作の面白さを決定付けたと言って良いのではないでしょうか。元々シックス役にはブラッド・ピットが想定されていたらしいですが、最終的にライアンに役がまわって正解だったと思います。ピンチなのに焦らず、淡々と表情も変えずに問題解決をしていく様は、観ていてなかなか爽快でした。

『ドライヴ』や『ブレードランナー2049』でもそうでしたが、ライアン・ゴズリングは人物背景が曖昧で陰日向で生きている役柄がすごく合っているので、例に漏れずそんな役柄である本作も素晴らしいハマり役でした。手足も長いので、動きの早いキレキレのアクションも様になっております。

ただ、ワタクシ的には「映画館で観たかった」というのも正直本音で、観終わった後の束の間、そういう部分が気になってしまいました。劇場公開してもバリバリに売れたと思いますけどね、本作は。そんなことを思ってしまうくらい抜群の面白さを持っている映画でした。