おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『きさらぎ駅 (2022)』【50/100点: 劣化版『サイレントヒル』】

2ちゃんねるのスレッドで展開された怖い話“きさらぎ駅”を映画化したホラー映画で、異世界に迷い込んだ主人公が実世界に戻る為に奮闘する、みたいな『サイレントヒル』そっくり内容でした。

卒論のテーマが“神隠し”ってだけ*1異世界に行こうとする恒松祐里演じる主人公の単細胞ぶりも気になるところで、中盤の時点でワタクシの脳内で何となく予想出来た結末がそのまま来たのも拍子抜けでした。

【ネタバレなし】

お話

恒松祐里ちゃんが演じる堤が自分が通ってる女子大の卒論で“神隠し”をテーマにすることから始まり、都市伝説の「きさらぎ駅」を調べた折にサトエリ演じる“きさらぎ駅から生還した”という幸薄女性の葉山から「どうやって生還したか」というエピソードを聞きます。

それで堤は「ってことは、これをこうやったらきさらぎ駅に行けるのか」と臆することも無くきさらぎ駅に行こうとします(なんで!?)。割と簡単にきさらぎ駅に着いた堤は、本田望結演じるガタイが良すぎるJKと分かりやすく腹立つキャラの他数人の人たちと、迷い込んでしまった“異世界”から抜け出そうとする、みたいな話です。

「きさらぎ駅」って何?

まず大前提として「きさらぎ駅」とは何なのか。

単刀直入に言うと、2ちゃんねる上で突如展開されたライブ型の怪談で、内容はきさらぎ駅にノリノリで便乗した遠鉄電車のページから抜粋。

「きさらぎ駅」は、ネット掲示板2ちゃんねる」のスレッド内に投稿された都市伝説で登場する、実際には存在しない鉄道駅です。

ある日、都市伝説の投稿主である「はすみ(投稿主)」さんは、20分以上も停まらない電車に乗り続け、聞いたこともない「きさらぎ駅」にたどり着きました。

存在しないはずの駅に降り立ち、周囲に何もなくどこにいるかもわからない状況に、はすみさんは困り果ててしまいます。歩いて帰ることにしたはすみさんは、その後次々と怪奇現象に遭遇します。「バッテリーがピンチなので、」という投稿を最後に、消息を絶ってしまいました。

「新浜松発の電車」といった情報からこの都市伝説は遠州鉄道が舞台になっていると考えられており、新浜松駅から20分ほど、平仮名の交じる駅名ということから、きさらぎ駅はさぎの宮駅なのではないか、と囁かれています。

※さらに細かい詳細は下のリンクのページに書いてあります。

元祖ネット系異世界怪談「きさらぎ駅」あらすじ・感想まとめ – 2chの怖い話 | 怪談NEWS

まあ、個人的に言うと「昔のネットって結構おおらかだったんだな」と思う、割と詰めの甘い怪談話なんですが、謎を残しまくって不気味な余韻を最後に残すという、ライブ型チャットの先駆け的な展開は当時割と話題になったんだそうです。

とはいえ、ワタクシ流行った当時中学生だったんですが、この話がまわりで話題になった記憶がないんですが。

とりあえず、ネットの怪談と言えばこれ!的な話が、本作のテーマにもなっている「きさらぎ駅」というワケなんですね。

謎にアクティブな主人公

わざわざ自ら異世界に行こうとする堤の行動原理は終始ナゾ以外の何物でもなかったですし、サトエリが「明日香ちゃん(本田望結)を救えなかったのが心残り」と言ってるならば、サトエリ異世界に行った方が良いんじゃないか、と思ってしまいます。

後半は一応、堤が代理的に明日香を救おうとする展開になっているものの、堤が実質的に命懸けで救おうするほどの理由付けがないんですね。

サイレントヒル』みたいだな、と思っていたら…

きさらぎ駅から入った以降の『サイレントヒル』みたいな世界観は良かったのに、怪しいゾンビっぽい“何か”が襲ってくるみたいなところまで『サイレントヒル』状態なので、“きさらぎ駅”という怖い話の如何わしさってそういうところじゃない気もしました。そんなならバブルヘッドナース*2みたいな異形の怪物くらい出ても良かったんじゃないでしょうか。

前半のPOV視点が結構良かったので掴みは盛り上げていた感じだったものの、後半からのテンションの下降率は非常に残念でした。何となくPOVの前半のみだけでも一本で纏まったんじゃないかな、と思ったのも正直本音です。

*1:そもそも卒論のテーマが「神隠し」ってどんな大学!?

*2:KONAMI全盛期のPS2サイレントヒル2』で登場したキモい見た目でミニスカという、変態がデザインしたとした思えない敵キャラ