遡ること45年前に、巨匠リドリー・スコットの圧倒的ビジュアルセンスの基に生まれた『エイリアン』シリーズの最新作。時代設定上は初代『エイリアン』の続編になっており、これまでのシリーズにあったエイリアンの生態を総浚いしつつも、それなのに破綻一切無しという超絶良作っぷりを発揮しています。
最初に結論を言うと、ええ、大傑作です。
元はディズニープラス(北米だとHulu)配信作品として製作されながら結果として劇場公開になったということで、昨今低調なディズニーにしては珍しく良い判断をしたような気がします。
【ネタバレなし】
お話
人生の行き場を失った6人の若者たちは、廃墟と化した宇宙ステーション「ロムルス」を発見し、生きる希望を求めて探索を開始する。しかしそこで彼らを待ち受けていたのは、人間に寄生して異常な速さで進化する恐怖の生命体・エイリアンだった。その血液はすべての物質を溶かすほど強力な酸性であるため、攻撃することはできない。逃げ場のない宇宙空間で、次々と襲い来るエイリアンに翻弄され極限状態に追い詰められていく6人だったが……。(映画.comより)
初代エイリアンが生きていた!
先に取り上げた通り、初代『エイリアン』の続編ということで初っ端から木っ端微塵のノストロモ号が登場し、「宇宙に散ったはずの生物(ゼノモーフ)は生きていた」という設定となっています。宇宙にて研究所として稼働している施設“ロムルス”はそのゼノモーフにめちゃくちゃにされてしまうってワケです。シリーズお馴染みの企業ウェイランド・ユタニ社のポンコツぶりがまたしても露見されています。
そんな“ロムルス”に現れた、ちょっと不良な男女の若者たちが悪戦苦闘する話となっており、本作の監督であるフェデ・アルバレスの出世作である『ドント・ブリーズ』を思わせるツカミになっています。とはいえ、「その手があったか!」と感心してしまうくらいにスリラー描写を頑張っており、個人的にそれだけでも満点です。全編ハラハラドキドキ、「こんな『エイリアン』を待っていたんだ!」と思いたくなる楽しさがあります。
主人公の姉弟の存在がすごく良い
また、シリーズお馴染みの女性主人公を演じるケイリー・スピーニーちゃんがこれまた魅力的で、その弟的存在のアンドロイド“アンディ”役のデヴィッド・ジョンソンとの姉弟関係が非常に面白く、最後の展開も若干泣かせてくれます。このアンディがなかなかキャラが良く、足手纏いかと思いきや後半からのイケメン弟ぶりを見せる活躍の多さはカッコよかったです。
シリーズ中、トップ級のオモシロさ
そんなワケで非常に面白い映画になっており、おそらく『エイリアン』シリーズを観ていなくても楽しめる内容にもなっています。とはいえ、意外とシリーズのオマージュが多いのでシリーズ観とくに越したことはないんですが、そのオマージュも「そういえばアレって!?」くらいに自然に組み込まれているのでこの点も良く出来ています。満足度としては満点に近い優秀な“続編”でした。