おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『座頭市 (2003)』【75/100点: ようやく大ヒットした北野映画】

北野武監督11作目の作品で初の時代劇で、勝新の代表シリーズをリメイクした一作。日本は元より海外の評価が高かった北野武作品ですが、評価の一方で興行収入は一貫して低迷したままだったのは有名なお話です。

そんな“キタノ作品”で初めて商業的成功をしたのが本作。それまでのキタノ作品と比べるとド直球にエンタメしているので、何となくその辺りの味付の弱さは少しだけ残念な部分です。

【ネタバレなし】

お話

とある宿場町に、金髪で朱塗りの杖を持った盲目の居合の達人・座頭市が流れ着く。ひょんなことから旅芸者の姉妹・おきぬとおせいと知り合った市は、2人が親の仇を探していることを知る。一方、時を同じくして町にやって来た浪人・服部源之助は病気の妻の薬代を稼ぐため、町を牛耳るヤクザの銀蔵一家に用心棒として雇われる。

飲み屋で出会った市と服部は、互いに相手が剣術の達人であることを見抜くのだった。やがて、銀蔵一家や彼と結託する商人・扇屋がおきぬとおせいの仇であることが判明。市は銀蔵一家や服部との壮絶な戦いに身を投じていく。(映画.comより)

「キタノ映画」を認知させた作品

HANA-BI』に続いてベネチア国際映画祭の銀獅子賞など数々の賞を受賞し評価を確率、日本国内でいわゆる“世界のキタノ”と呼称が定着するキッカケとなった作品となります。ちなみに興行収入の話で言えば、いまだにキタノ映画の作品群の中でもトップ成績の28億円。

基本的なプロットは勝新版に遵守しているのですが、“キタノブルー”と呼ばれる映像美、ケレン味の溢れるユーモラスな場面の数々、そして堂の入ったたけしの座頭市他、豪華な出演陣の皆様など、キタノ作品屈指の娯楽作となっております。

迫力はあるが勝新版の方が良い

キレキレなアクションもまた見どころで、座頭市がバッサバッサと人を切る様は同年公開の『キル・ビル Vol.1』と似た楽しさがあります。ただ、本家の勝新版と比べると、「やっぱりあっちが良いなあ」とちょっと思ってしまうのはリメイクだから仕方ないですが。

とにかく明るい北野武作品

有名なラストのタップダンスシーンは否が応でもテンションが上がります。初見時は唐突なミュージカルシーンでビックリしてしまいましたが、これだけでも鑑賞でお釣りをもらったかのようなインパクトです。ものすごいカッコいい。

キタノ映画といえばバッドエンドパターンが多いですが、『キッズ・リターン』『菊次郎の夏』と並ぶ爽やかラストなので、非常に後味が宜しいです。『アウトレイジ』シリーズと並んで、“キタノ作品入門編”に相応しい一作でございます。

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感想(2件)