おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『ノック・ノック (2015)』【70/100点: マジメ男VSおっぱい】

性欲に負けて家庭崩壊するおっさんキアヌ、という『ジョン・ウィック』シリーズとはまるで正反対の役柄を演じたサスペンススリラー。

本来のキアヌ・リーヴスの魅力である寡黙でソリッドな動きを求めているキアヌファンからの評判はすこぶる悪い反面、ワタクシのようなバッドエンド好きやホラー映画ファンにはそれなりに評判が良い映画のようです。また、美女2人の片割れは今をトキメク美人女優アナ・デ・アルマス*1。最高です。

【ネタバレあり】

お話

善良な家庭持ちの中流サラリーマン、キアヌ演じるエヴァンの自宅(家族は旅行中)に、「道に迷った」と2人組の女の子が突然現れます。雨でずぶ濡れ、すげえ美人、キツイ下ネタ発言連発というパッと見のビジュアルも行動も全部エロいこの2人の女の子に、マジメサラリーマンのエヴァンは「やめろやめろ」と理性を保とうと必死に。

そして、風呂に入ろうとしたら、この美女2人がまさかの全裸で現れ更に股間を弄ばれて撃沈してしまい、そのまま3Pをしてしまいます。ただこの2人行動は、どうやら完全なる美人局だったようで、翌朝になってみると自宅は美女によって荒らされまくっており、自宅をほぼ籠城状態にされてしまい…という話。

キアヌ演じる「一般のオトコ」

とにかく本作のキアヌは情けなく、中年のやるせなさが色濃く出ております。結果として、実質的な拷問状態でひたすら女子2人に虐めぬかれる役柄なのですが、元を正せばエヴァンが全裸女性2人に撃沈しちゃったのがいけないワケで、それこそ『フォレスト・ガンプ』みたいに、女性の裸を見たら「こんなの良くないよ」と断固拒否すれば何も起こらなかったのです。

まあほとんどの男性が無理でしょうけど。

崩壊する良きパパ

エヴァンは一応いっぱしの家庭人でもあるし、こういう映画でありがちな夫婦の関係不和とかも全く無く、何なら子供からも好かれる良きパパです。なので、突然現れた来訪者の女性2人がいくらめちゃくちゃエロい痴女とはいえ、別に男女関係*2を持つメリットがエヴァンには一切無いんですね。

人物関係図的には『危険な情事』と結構似ているんですが、『危険な情事』ほどの熱量や面白さと比べたら本作はだいぶ落ちるものの、エヴァンの理性がブッ壊れるまでの、怒涛のなし崩し感はそれなりに見応えがあります。

とってつけたフェミニズム

惜しいところが、エヴァンを虐め倒す女子2人の犯行理由が良く分からないところで、ラスト辺りに言われる「結局男って誘惑されたらどんな人でも落ちる」的なセリフも、何かとってつけたようなフェミニズムって感じです。

中盤から終盤近くに至ってはその思いがより顕著になり、「結局何がしたかったんだコイツらは」というエンディングに。通り魔にしては用意周到だし、サイコパス犯罪者としては頭おかしい感が不足しているしで中途半端なので、ただただビッチ感しか感じられないのは残念なところ。

絶世の美女アナ・デ・アルマスのデビュー作

『ホステル』や『グリーン・インフェルノ』と、エモいグロ映画で有名なイーライ・ロスが監督しているだけあって、スリラー描写はどことなく安定感があるのですが、如何せん若干パワー不足の映画でした。

まあでも、今や大人気女優のアナ・デ・アルマスはこの映画がハリウッドデビュー作なので、こんなド級美女を発掘してくれた本作の製作スタッフには頭が下がる思いですね。ハハハッ。

*1:ちなみに、もう一人の美人はロレンツァ・イッツォタランティーノの『ワンハリ』でディカプリオの嫁を演じてた人。

*2:厳密に言うと“男女女関係”