おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜 (2023)』【40/100点: 美人はいつでもメイクバッチリ】

ブラック企業パワハラ上司に霹靂しほぼ鬱状態だった社畜男アキラが、ある日ゾンビが蔓延した世界を見て「会社行かなくて良いんだ!やったー!」と大喜びをした結果、今まで我慢していた鬱憤を晴らすように“ゾンビになるまでにしたい100のこと”という棺桶リストを作成し、自分が今までやりたかったことをドンドンと叶えていくという『ショーン・オブ・ザ・デッド』×『最高の人生の見つけ方』的な緩いゾンビ映画

あらすじだけなら面白くなりそうな要素が充分にあるんですけど、とはいえイマイチ盛り上がりに欠けるNetflixオリジナル映画でした。

【ネタバレなし】

お話

ブラック企業に勤める天道輝(アキラ)は、連日の徹夜や上司のパワハラに疲れ果て、まるで死んだように生きる日々を過ごしていた。ある朝、街が大量のゾンビに埋め尽くされていることに気づいた彼は、もう会社へ行かなくて良いことに歓喜する。

アキラは持ち前のポジティブさを発揮し、これまで先延ばしにしてきたささやかな夢や目標を「ゾンビになるまでにしたい100のこと」としてリスト化し、ひとつずつ実行していく。絶望的な状況の中で人生を謳歌する彼は、やがて仲間とともに大きな夢を求めて旅に出る。(映画.comより)

サバイバルで生き伸びたとは到底思えない配役

たぶん死亡フラグが立ちまくってる赤楚衛二演じる主人公アキラがゾンビ相手に大活躍するってのが、本作でフューチャーするべき面白ポイントなんだと思いますが、主人公の危機的な場面の数々は想像し得る一番簡単なことで解決する等、緊迫感が欠片も無いのでその大事な設定が若干崩れ気味です。

白石麻衣が演じているヒロインのシズカも、ゾンビサバイバルを生き延びてきたとは到底思えないメイクバッチリのお姫様フェイスなので、何か納得感が薄いです。いや、「油まみれ、埃まみれで出て来いよ」とかそういうことではないんですけど、さすがに汚しが無さすぎてあからさまにメイクさんの影がチラついてる顔面の綺麗さなので…

設定がユルユル

ゾンビ自体も目が見えたり見えなかったり、音にはかなり過敏に反応するとか、一応『THE LAST OF US』的な設定になってるんですが、別にこの設定が特段生かされるワケでもないのでどんなにピンチな場面も「どうせ逃げれるんだろ」と思ったら案の定みたいな。

ついでに言うと、ゾンビ物に必須とも言える血みどろゴア描写も全然無く…というかこれ完全にワタクシの主観になっちゃうんですが、髪の毛、顔、歯など、顔面の隅から隅まで血だらけの(大塚愛のアルバム『LOVE JAM』のジャケットみたいになった)白石麻衣を観たかっただけに、そんな場面一切無いので何とも消化不良。

良くも悪くもZ世代向けのゾンビ映画

そういうところもあり、シンプルにゾンビ映画あるあるの非日常的な残虐性が微塵も感じられなかったのは残念でございました。ワタクシ的に邦画ゾンビ映画の傑作と思ってる『アイアムアヒーロー』と(序盤だけは)雰囲気が似通った感覚もあっただけに、Netflixだから「もしかしたら『アイアムアヒーロー』超えるゾンビ物が来るんじゃないか」と勝手に想像してたものの、残念ながらそんなことも無くお金だけは沢山使ったのが分かる点は何とも。

友情、将来、正義の味方がどうたらみたいな話も、すぐそばにゾンビが居る中で「そんなこと考えてる前にやることあるだろ」的なワタクシの気持ちもムンムン。「ゾンビ物に湿っぽいドラマって全然合わないんだな」と、本作を観てゾンビ映画の暗黙のセオリーが何となく理解出来た気もします。漫画が原作なこともあり、良くも悪くもZ世代向けのゾンビ映画なんでしょうね。