おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『シン・ウルトラマン (2022)』【85/100点: 怪獣バトルがいっぱい】

シン・ゴジラ』のスタッフ陣による、ウルトラマン最新作。『シン・ゴジラ』とは異なり、(クレジット上は)樋口真嗣監督の単独作ということで、実は結構不安だったのですが、まさかの傑作映画でした。やれば出来るじゃん樋口監督!*1

【ネタバレ若干あり】

お話

「禍威獣(カイジュウ)」と呼ばれる謎の巨大生物が次々と現れ、その存在が日常になった日本。通常兵器が通じない禍威獣に対応するため、政府はスペシャリストを集めて「禍威獣特設対策室専従班」=通称「禍特対(カトクタイ)」を設立。

班長の田村君男、作戦立案担当官の神永新二ら禍特対のメンバーが日々任務にあたっていた。そんなある時、大気圏外から銀色の巨人が突如出現。巨人対策のため禍特対には新たに分析官の浅見弘子が配属され、神永とバディを組むことになる。(映画.comより)

フォーマットはほぼ『シン・ゴジラ

複数カメラによる鬼マルチ撮影に、説明過多ながらガンガン進行する展開など、『シン・ゴジラ』フォーマットをそのまま流用した映画だったんですが、上手いこと進化している印象です。ウルトラマンが登場するのも早いこと早いこと。ワタクシ自身、ウルトラマンには特に愛着も無いのですが、そんなワタクシでもなかなか痺れる登場をしてきます。

トンチンカン設定を補填してくれる実力派キャスト

内容は、“禍威獣(怪獣)”が暴れ回って大パニック状態の日本国内に設置された「禍威獣特設対策室専従班(禍特対)」の面々の活躍と、ウルトラマンの登場で「あの巨人は敵?味方?」となっちゃう政府の混乱を描くという、意外にもシンプルなおハナシ。その内容を補填する情報量の数々はシンゴジに引けを取りません。

振り返ってみたら結構トンチンカンな設定の気もしなくないのですが、とはいえ俳優陣の見事さで妙な説得力がありました。特に、実質的な主人公である斎藤工長澤まさみ、あとメフィラス星人役の山本耕史と、この3人がとっても良くて、作品への貢献度が段違いでした。

人知を超える存在と元気な人間

斎藤工が演じるのはウルトラマンと同化する「神永」なのですが、人間的な雰囲気を一切消しているので、人知を超えた存在感に凄味を感じました。瞬き一切しないし。一方、その神永の相棒的な立ち位置になる長澤まさみ演じる「浅見」も、結構ユーモラスなキャラクターという面もある為、長澤まさみの持ち味とも言えるコメディエンヌらしさが色濃く出ていて良かったです。

また、中盤から登場するメフィラス星人役の山本耕史も実に見事で、人間味を消して“外星人”を演ずる斎藤工とは対照的に、ニヤニヤ笑顔の役人のような演技が怪しさ満点でした。

この3人の演技力の見事さが作品の面白さを決定付けております。

結局バトルいっぱいなら楽しい

正義の味方ウルトラマンに関しても、フルCGってことでちょいと軽やかな印象もありつつも、まさかのウルトラマン自身の葛藤まで描かれるので、この点は意外だったのですごく良かったです。この調べてみたらウルトラマンが悩む場面って、原作ドラマシリーズでもあった場面なんですってね。へえ〜。バトルシーンもすごいたくさんあったので、飽きる暇すら与えてくれません。勿論、良い意味で、ですよ笑

シン・ゴジラ』で気になった点がオミットされている

諸々の点で『シン・ゴジラ』で「ん?」と気になった点(鼻につく俳優、ラストが強引)などが総じて潰されている印象で、本作の幕切れはなかなか秀逸。本編中、意外にもコメディシーンも多かったので、まさに“緊張と緩和”な展開でとってもエンターテイメントしている映画だったと思います。あわよくば続編が出来てほしいなあ、なんて思いも。

ってか、ウルトラマンの声、高橋一生だったのかよ!

関連作

osugimura-kon.net

*1:ただ、エンドクレジットを見るに、至るところに“庵野秀明”の名前があったので、本当に単独監督だったのか怪しいですが