東映が約25億円を掛けて製作した叙情詩的な人間ドラマで、沖縄県内の嘉手納基地周辺に住む若者たちの群像劇。邦画といえば10億円いかないくらいの製作費が相場ですが、その2倍をゆうに超える製作費。しかし内容は米軍基地問題を根底としただいぶポリティカルな内容。東映も攻めたなあと思っていたら案の定大コケをしているらしいんですが、沖縄が太平洋戦争中における日本唯一の決戦地であることの因縁なども盛り込まれており、この内容で大作を作ったこと自体は大変意義のあると個人的に思います。
ただ、描くべき要素が多かったこともあるのか、物語自体はかなり駆け足であり、人物設定や成り行きの唐突さも否めず、ワタクシ的には「2部作にするか、配信でシリーズ化するか」などの選択肢もあったんじゃないか、と思ってしまったのも正直本音です。若松孝二の映画ばりの政治的な内容ながら、この駆け足な点だけはとても残念な部分でした。
《ネタバレなし》
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