おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『マッドマックス:フュリオサ (2024)』【80/100点: カッコいい型落ち映画】

2015年の大傑作『マッドマックス 怒りのデスロード』の最強ヒロインであったフュリオサの前日譚を描いたスピンオフ作品。監督は勿論、シリーズの父であるジョージ・ミラーで、シリーズの特徴である爆走演出も相変わらず。

一方で、前作の内容補完的な要素が多い部分もあり、正直なところ型落ち感はあります。とはいえ、80歳を迎えたジョージ・ミラー監督の衰え知らずな暴れん坊演出っぷりは見応えはあるので、その点だけでも嬉しい部分だったりします。

【ネタバレなし】

お話

世界の崩壊から45年。暴君ディメンタス将軍の率いるバイカー軍団の手に落ち、故郷や家族、すべてを奪われたフュリオサは、ディメンタス将軍と鉄壁の要塞を牛耳るイモータン・ジョーが土地の覇権を争う、狂気に満ちた世界と対峙することになる。狂ったものだけが生き残れる過酷な世界で、フュリオサは復讐のため、そして故郷に帰るため、人生を懸けて修羅の道を歩む。

前作の前日譚

内容としては、フュリオサの幼少期から話がスタートし、強すぎる母親のもと幼少期の時点で結構なバトルスキルを持つフュリオサが描かれます。

そんな究極の情操教育を受けたフュリオサちゃんですが、ある日、クリヘム演じるディメンタス率いるバイカー集団に母親を殺されてしまいますが、強い復讐心を胸に流れ着いたのが前作『怒りのデス・ロード』のヴィラン、イモータン・ジョー率いるシタデル。そんなワケでちょっと強めな少女だったフュリオサが、前作の役柄であったフュリオサ大隊長になるまでが描かれます。

フュリオサは何故「緑の地」を目指したのか?

本作の冒頭で描かれるのがフュリオサの故郷である“緑の地”で、『怒りのデス・ロード』で何故フュリオサがあんなに死ぬ物狂いで“緑の地”を目指したのかよく分かるくらい、牧歌的でのんびりした場所として“緑の地”が描かれています。

故に『怒りのデス・ロード』でフュリオサが「“緑の地”が無い!」と泣き叫ぶシーンの理由も本作でやっと分かるようになっています。前作だと「あれ何で泣いてんだ」みたいなドライな描写だったので。

今が旬の若手俳優がアツい

脳筋マッチョ系俳優であるクリス・ヘムズワースも極悪なヴィランを怪演しており、これがまたフュリオサに殺されるに相応しい悪党っぷりで気持ちいいです。フュリオサも若年期ということで、若手女優のアニャ・テイラー=ジョイが演じているのですが、これがちゃんとフュリオサになっていく様子はお見事。

前日譚ということで、尚且つどちらかというとドラマ性に重きが置かれていることもあり、前作のようなスピードと爆発のカタルシスみたいな内容ではないのが若干物足りなく感じてしまうのですが、同じ系列の作品として点と線が繋がっていくような面白さもありました。ジョージ・ミラーには引き続き、頑張って映像制作をして頂きたいくらい若々しい描写が溢れる良作でした。