最近の『スター・ウォーズ』シリーズだと抜きん出た傑作だった『ローグ・ワン』のギャレス・エドワーズ監督による、オリジナルストーリーの新作SFアクション映画。
80年代SF映画みたいなエキゾチック・ジャパン的雰囲気が露骨に協調され、言語も英語・日本語・中国語とチャンポン状態の大変カオスな映画なんですが、そんな『ブレードランナー』シリーズみたいなニッチな雰囲気のSFも久々なのでカッコよかったです。
【ネタバレなし】
お話
AIを敵対視し完全抹殺を目指すアメリカ等の西洋と、AIと共存して生きている東洋(劇中では“ニュー・アジア”)の戦争が激化している近未来の地球が舞台。
“ニュー・アジア”で開発されたとされる「人類を終わらせる力」を持つAI兵器の破壊、そしてAI兵器兵器を開発した人間“創造者(The Creator=ニルマータ)”の暗殺の任務の命を受けたジョシュアが、“ニュー・アジア”で出会った謎の少女型AI(シミュラント)のアルフィーと逃避行を繰り広げ、アルフィーとの交流を経て人間の愚かさに気が付いていく、というようなお話。
未来世界と哲学
序盤の展開だけだと、何となくどこかで聞いたことある感を感じるお話ではあるものの、ビジュアルがヒジョーにカッコイイので目が釘付けになりました。生活感がムンムンに溢れるリアルな未来都市描写もとても見応えがあり、SF映画好きならば強烈に印象に残る風景の数々ばかりだと思います。
話が進んでいくとSF描写だけでなく、「AIと人間は今後共存出来るのか出来ないのか」という哲学的な話にも踏み込み始めます。そこから浮かび上がる、AI対人間による戦争の根本的な原因を探り始める中盤からの展開は凄みを感じました。その話の中心となっているのが中盤頃から本格的に登場する渡辺謙演じるハルンで、このキャラが良い味出してるんですよね。
コスパ最強SFとの噂
映像がずっと凄いのでさぞ金が掛かっている映画なのかと思いきや、先日観た『コカイン・ベア』よりも若干お安い製作費なのだそうで、コスパがものすごく良い映画らしいです。変に技術や人件費にお金掛けなくてもこういう独創的な雰囲気の映像って作れるんですね、すごいすごい。
序盤の単純なSFアクション映画っぽい雰囲気から、割とシビアな内容に移行していくストーリーは結構ヒネリが効いており、ワタクシ的に非常に面白く感じました。ラストもベタっちゃベタなんですが、エモい終盤の展開は本作のラストに相応しいと思います。良いSF映画でした。
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