おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『呪詛 (2022)』【70/100点: 結果的に自業自得だった】

「めちゃくちゃ怖いか」って言われるとそういうワケではないんですけど、『ヘレディタリー/継承』みたいな不気味な雰囲気を徹底しており、尚且つほぼ全編がPOV視点の画面構成となっていてホラー演出的にも効果的だったので、ここら辺はなかなか秀逸だな、と思いました。

【ネタバレなし】

お話

かつて山奥の村で仲間たちとともに宗教的禁忌を破り、恐ろしい呪いを受けた女性ルオナン。関わった者は全員が不幸に見舞われ、ルオナンも精神に異常をきたし、幼い娘ドゥオドゥオは施設に引き取られた。

6年後、ようやく回復したルオナンはドゥオドゥオを引き取って2人きりの新生活をスタートさせる。しかし新居で奇妙な出来事が続発し、ドゥオドゥオにも異変が起こり始める。6年前の呪いが娘にまで降りかかったことを知ったルオナンは、どうにか呪いから逃れるべく奔走するが……。(映画.comより)

憑りつかれ系ホラー

主人公はポスターの人、水野美紀夏帆を足して2で割った感じのリー・ルオナンという女性で、『仄暗い水の底から』の黒木瞳みたいな精神不安定気味のシングルマザー。本編の主題ともなる“呪詛”…要はシンプルに「呪い」のことなんですが、彼女が呪詛による霊障を受ける原因は、実は彼女も(間接的ながら)に関わっているなんて設定になっています。*1

ってことで、数あるホラー映画あるあるを押さえたベースの設定で進行するワケですが、描写がなかなかハードな場面も多く、例えばウブな人ならおえーーーってなりそうなシーンを連発します。特に後半以降。グロ場面、ってよりは生理的に不快なシーンが多い、というと正解な感じですね。

ママの綺麗事

このルオナンが何故自らの姿をカメラに写すようになったかというと、ルオナンの娘ドゥオドゥオに対して「この子もしかして呪われてる…?」という、不安感がキッカケ。娘には「あなたが元気な姿を残しておきたいの」と綺麗事を言ってはいるものの、実際のところは自分が不安で追い詰められているから。この設定はなかなかダークで面白かったですね。

まあこれらが原因で、ルオナンはソーシャルワーカーのお世話になっちゃったりするのですが、実はルオナンの不安は見事(?)的中していた。生活の中で起きる様々な怪奇現象により、ルオナンは余計に追い詰められます。

キッカケは自業自得だった

そもそも、ルオナンとその仲間たちが数年前に何をしたかというと、密教の村にある封印された“呪われし地下道”に足を踏み込んでしまった為で、よくよく考えてみたらまあまあ自業自得だったりもします。…って、それ言ったら元も子もないですけどね。

あんまり言っちゃうとガッツリネタバレになっちゃうのでここいらで止めときますが、ストーリー自体は普通に面白い映画なので、ワタクシ的にはスッキリ楽しめました。ただ、邦画っぽい「緊張と緩和→緩和からの緊張」って怖がらせ方なので、次観る機会があった時、同じように怖がることが出来るか、と言ったらちょっと微妙です。あ、でも、あくまでワタクシの意見なのでご容赦ください。

*1:ちなみに本作の英語圏タイトルは「Incantation (呪い)」。バリバリ直訳っすね。