おすぎむら昆の「あんなま」

直近で鑑賞した映画をひたすらレビューしていきます。

『インターステラー (2014)』【90/100点: 宇宙を旅して家族と別れて】

クリストファー・ノーランの代表作で、絶滅寸前の人類を救う為に宇宙を旅する宇宙飛行士の姿を描いたSF超大作。ベースとなっているのは思い切り『2001年宇宙の旅』なのですが、弟のジョナサン・ノーランの脚本構成がまた感動的。

実はワタクシ、ノーラン作品は本作と『フォロイング』以外は全部観てるのですが、社会上映時と2020年のリバイバル上映時も見逃し、「『インターステラー』は絶対映画館で観た方が良いぞ」という友人の進言もあり、ディスクメディアやVODでも一切観てなかった為、映画館で三度目の正直で鑑賞。IMAXのベースフォーマットである1.43:1サイズの画角をフルで使った宇宙シーンは凄まじい迫力でした。ドラマチックな展開も相待って、“ノーランの代表作”と呼ばれる所以をしっかり堪能出来ました。10年待った甲斐があった映画です。

【ネタバレなし】

お話

近未来、地球規模の異常気象と飢饉によって人類滅亡の危機が迫っていた。元宇宙飛行士のエンジニアで現在はトウモロコシ農場を営んでいるクーパーは、NASAの要請に応じて人類の未来を懸けた前代未聞のミッション「ラザロ計画」に参加することになる。計画の内容は、土星付近に突然発生したワームホールを通り抜け、新しい惑星へと人類を移住させるというものだった。家族と人類の未来を守るため、クーパーは少数精鋭のクルーとともに前人未到の地へと旅立つが……。(映画.comより)

「難解」と「面白い」を両立した奇跡の傑作

農作物が疫病でドンドン死滅していく近未来の地球で、元パイロットで農業を営むクーパーが今や人類の未来を担っているNASAの要請もあり、人類の新たな移住地を探すラザロ計画に参加。地球に残された家族の為にも計画を成功させるべく、移住可能な惑星を探すスペースシップ「エンデュランス」の宇宙飛行士たちの姿を描いた作品。

こんな感じでスケールが凄まじくデカい映画になっており、難しいセリフが要所で出てくるノーラン作品らしく、「相対性理論がどうたら」とか凡人のワタクシには「???」となる場面はあるものの、本筋としては至ってシンプルに面白く、加えて言えば前述の相対性理論など本作で取り扱っている理系視点の“宇宙”に対して「分かってる」感を出せるのも本作の面白さの一端である感じもします。

大筋は「家族」の話

そのベースとなっているストーリーが地球に残された家族の物語で、マシュー・マコノヒー演じるクーパーの家族の姿などが並行して描かれています。元々数年単位の宇宙ミッションではあったものの、ブラックホール“ガルガンチュア”の重力の影響で、惑星探索が図らずも地球時間では数十年単位になったりすることもあり、“時間”が鈍行するエンデュランスの面々に対して、地球でエンデュランスの面々が地球を後にした際の年齢を超えて老いていく家族たち。

これがなかなかに切なくて、ノーラン映画の特徴である“時間”演出が現状最もドラマチックに展開される内容になっています。

凄まじい臨場感

宇宙の場面や探索する惑星の映像美も素晴らしく、前述の通りIMAXでの鑑賞ならばとんでもない没入感で、まるで宇宙の旅に同行してるような錯覚をしてしまうほどです。ワームホールブラックホールの中の描写も大迫力で、同じような描写がある『2001年宇宙の旅』をさらに進化させたような光の嵐は恐怖感すら感じます。

確かに小難しい映画ではあるものの、ゴリゴリに理系な知見とエンタメ的な内容を同居させた杞憂の超大作で、個人的には10年待った甲斐しかない面白い映画でした。ラストもしっかりと感動させる展開になっており、鑑賞後の「良い映画観た」感は凄まじく、素晴らしい余韻を感じました。

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感想(26件)